中日堂上直倫内野手(30)が交流戦開幕戦で、球史に残るグランドスラムをかけた。

6回1死満塁で代打に起用され、ソフトバンク・バンデンハークの151キロ速球を左中間スタンドにたたき込んだ。代打満塁弾は兄剛裕も巨人時代に放っており、兄弟での記録はプロ野球史上初めて。0-5の劣勢を接戦に持ち込む大仕事に「チャンスで、あそこで代打に送ってくれたので、期待に応えたかった」とおとこ気を見せた。

中盤まで、相手のアーチが4本もスタンドに飛んだ。中日打線は安打も打てず、塁に出ることすらできない。腰痛から復帰したばかりのバンデンハークに6回1死まで完全投球を続けられ、やられっぱなしの悲しい展開だった。

だが代打堂上の一振りが、ドラゴンズをよみがえらせた。与田監督が「一気に流れを変える1発だった」と目を細めた放物線。「序盤からまっすぐが多かったので。コンパクトに行くしかなかった」。今季6号は4月13日阪神戦以来、自身3本目の満塁弾になった。

兄とつくった史上初の記録に「それはうれしいことです」と目じりを下げたが、試合結果には肩を落とした。交流戦開幕はこれで4連敗。だが、やられっぱなしでは終わらない。堂上が、中日打線に活気を呼び込んだ。【堀まどか】