西武中村剛也内野手(35)が、ラミちゃんに並んだ。延長12回、前打者の森への申告敬遠を見届ける前から、予感はしていた。「森は今、パ・リーグで一番打っているバッター。敬遠は当たり前。満塁のシチュエーションは頭の中で整理していました」。この試合、2度目の無死満塁。サヨナラの絶好機を逃すわけにはいかない。カウント1-1から3球目。自身4度目のサヨナラ打を左前へ運び、歓喜のシャワーを浴びた。

交流戦183打点は元DeNAラミレス(現監督)に並ぶ歴代トップ。05年から始まり、15年目を迎えた交流戦。「初年度からやってますから、試合数も多いんで」と積み重ねた打席の分だけ経験値もある。「普段と変わらない。(投手が)初見といってもほとんど戦っている。そんなに何も考えていませんよ」と自らの感覚に比重を置く。

この試合でも5打席の凡打の中で、自身にしか分からない手応えをつかみとっていた。8回の第4打席、レグナルトの150キロを中堅最深部まで運んだ。ベンチで「あの球をあそこまで運べた。感じは悪くない」。ぶれることなく6打席目に殊勲打。プロ18年で培った引き出しは、後輩たちにも還元する。山川に低めの打ち方を聞かれ「体を下げれば真ん中になるだろ?」と左膝を折りながら伝授。通算393本塁打で6度の本塁打王に輝いたアーチストは、かげりを知らない。

その中村も、交流戦優勝はまだ1度もない。「打てて本当によかった。僕のサヨナラヒットで勝ったので、いい流れでいけると思う」とちゃめっ気たっぷりに言い切った。【栗田成芳】