不敗神話が、ついに崩れた。日本ハムは17年途中にヤクルトから移籍後、札幌ドームで負けなしだった杉浦稔大投手(27)が、古巣相手に今季初黒星。ヤクルト青木に初回、先制アーチを許すと、5回は連打を浴びて1死満塁で無念の降板となった。打線は4月16日オリックス戦(京セラドーム大阪)以来、今季2度目の0封で援護できず。勝てば16年以来の8連勝を逃した。

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苦笑いを、こらえているように見えた。試合開始から間もない1回1死。先発マウンドに立った日本ハム杉浦は、口元をゆがめて、右中間席へ吸い込まれる打球を見送った。かつての先輩から浴びた先制弾。追い込んでから投じた148キロの直球は、スタンド最前列で跳ねた。「悪い球じゃないと思ったんですけど…。本塁打は想像してなかったので、さすがだなと」。衰え知らずのベテランの打撃に、脱帽だった。

先頭の塩見に、直球を4球連続でファウルにされて粘られた。「真っすぐを狙って来るのは分かっていたので、カウントの取り方をもう少し考えれば良かった」。変化球が多くなり、ボール球が先行した。今季ここまで3試合で、わずか2つしか与えていなかった四球が、この日だけで4つも記録。いつもとは、何か違った。

17年途中にヤクルトから日本ハムへ移籍し、初めて経験する古巣との対戦だった。相手指揮官の小川監督は、13年ドラフト会議で杉浦の交渉権を引き当てた、その人だ。「知っている相手が多いだけに、やりづらさはあった。負けたら面白くないし、勝っていたら気持ちは違った」。自身は移籍後、6試合目にして札幌ドーム初黒星となった。

チームの連勝は7でストップ。混戦のパ・リーグで4日ぶりに3位へ後退したが、栗山監督は「杉浦の内容は、全然ダメだったわけじゃない。後ろを振り返っている場合じゃないので、しっかりやります」と、すぐさま前を向いた。【中島宙恵】

◆日本ハム木田投手チーフコーチ(杉浦に)「(降板のタイミングは)球数というより、あの場面(1死満塁)を背負ったから」