老練な投球術で勝利を引き寄せた。「日本生命セ・パ交流戦」でヤクルト石川雅規投手(39)が、8回を被安打3の無四球、無失点で2勝目を挙げた。

低めとコーナーを徹底して突く投球で、交流戦通算24勝目とし、歴代で2位タイに浮上した。打線も、青木宣親外野手(37)が先制の9号ソロを含む4打数2安打2打点の活躍で石川を援護。投打でベテランが光った。低め、内角、外角-。石川はテンポよく、熟練の制球力で抑え込んだ。130キロ台前半の直球に変化球を巧みにまぶす。打者は手が出るものの、打ち損じる。真骨頂はわずか6球で終えた3回。先頭横尾は、内角カットボールで右飛。続く平沼は、カウント1-1から低めのチェンジアップで中飛。最後は鶴岡を2球目の外角低めシンカーを打たせ、遊ゴロに仕留めた。

3回まで1人の走者も許さず。リズムをつくった。16年8月27日阪神戦以来となる8回を投げ無失点。わずか92球でまとめた。9回は梅野が抑え、今季チーム初の完封リレー。ベテラン左腕は「9回もどうか? と聞かれて、大丈夫ですと答えたけど、チームが勝つのが一番」とうなずいた。

好相性の球場で、打たせて取る持ち味を存分に発揮した。オープン戦3月23日の日本ハム戦でも、4回を被安打1の無失点と好投。硬くて傾斜のあるマウンドを「どこも大差ないんだけど、たまたま(札幌ドームで)結果が出ているからか、好きな球場と思いこんでいる」と笑う。

多彩な球種を駆使し、制球力が投球の軸となる石川にとって、マウンドのフィーリングは重要だ。軸足だけでなく、踏み出した足もしっかりと固定され、ぶれない。春季キャンプでも、2種類用意されたブルペンのうち札幌ドームと同じ赤土が使用されている硬いマウンドで、主に投げ込みを行った。交流戦の通算24勝目は、歴代2位タイ。「長いこと投げているから、勝ち星が増えているだけですよ」と謙遜したが、数字は偉大さを物語る。

1日まで続いていた球団ワーストの16連敗は止まったが、前夜の交流戦開幕戦は延長の末サヨナラ負け。嫌な記憶がよみがえったが、ベテラン左腕が流れを断ち切った。「大きな連敗をして、交流戦に入って気分新たに、というところ。今日にかける気合があった」。昨季交流戦最高勝率をマークした燕が、再上昇へ加速する。【保坂恭子】

 

▼ヤクルト石川が交流戦通算24勝目。24勝は歴代1位の杉内(元巨人=26勝)に次ぎ、2位の和田(ソフトバンク)涌井(ロッテ)に並んだ。セ・リーグの投手ではすでに内海(現西武)の22勝を上回り最多勝利となっている。