楽天ドラフト6位ルーキーの渡辺佳明内野手が、リーグ30勝一番乗りを呼び込む活躍を見せた。2回2死二塁から巨人田口の直球を左前へ先制適時打。「気持ちで打ちました」というプロ初打点で勢いに乗る。4回には低めのチェンジアップを、最後は右手1本で拾ってチャンスメーク。2点目のホームを踏んだ。6回にも左前へ。左翼レギュラーの島内が左膝を痛めて指名打者での出場となる中、本職ではない外野でのスタメン起用に初猛打賞で応えた。

相手先発は左腕の田口。左対左になっても、平石監督は「自分の色を知っている選手。佳明ならできる、と(起用を)迷わなかった」。指揮官が「バットの軌道が体から外れない。(体の右サイドに)壁ができている」と指摘する長所は、祖父で横浜高の渡辺元智前監督にたたき込まれた揺るぎない土台をうかがわせる。右足を上げたり、引いてみたり、タイミングの取り方に複数の引き出しを持つ器用さで左も苦にしない。明大では自主的にビジョントレーニングを取り入れるなど貪欲な探求心もある。

4月中旬、2軍で外野の練習中にドラフト7位の小郷と衝突。救急搬送された小郷が、その後1カ月近く試合に出られないほど危険なアクシデントを乗り越えた。不慣れな外野守備は一緒に1軍昇格した小郷のグラブを借り、2人でお立ち台に上がったドラフト1位で中堅を守る辰己にも「(距離感が難しいフライは)前か後ろか言ってくれ」と頭を下げた。同期の絆に支えられながら、1軍での居場所をつかもうと奮闘している。【亀山泰宏】