「ビッグベビー」がひと振りで決めた。巨人岡本和真内野手(22)が8戦ぶりの1発となる決勝の10号ソロで試合を決めた。

同点の6回2死、楽天石橋の外角146キロを右翼席へ運んだ。シーズン開幕から全試合4番に座ってきたが、調子が上がりきらず、交流戦からは6番に打順を落とし、この日は5番で出場。4番陥落後は先輩打者の後ろで3戦連続マルチ安打で復調の兆しをアピールした。“大きな赤ちゃん”の決勝弾でパ・リーグ首位の楽天との交流戦開幕カードを勝ち越した。

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泣きも笑いもせず、ドヤ顔でゆっくりと歩き出した。同点の6回2死。岡本は初球から迷わず振った。楽天石橋の外角146キロ直球をジャストミート。もやのかかる仙台の夜空に放物線を描いた。右翼席へ8戦ぶりの1発となる決勝の10号ソロをたたき込み「久々にいいスイングができて、久々にいい感覚でした」と自賛した。

超積極打法で攻めた。2回の左前打を含め、全4打席で初球からスイング。「それを言うと次のカードからまたやられるから、そっとしておいてください」とけむに巻いたが、数字が物語る。今季初球は29打数12安打、打率4割1分4厘。素直にバットを出せば、おのずと結果がついてくる。

指揮官も喜びを隠さない。今カードの初戦の4日に4番から6番に打順を今季初めて下げた。試合後に「ややビッグベビーが困っているというところで少し助けてあげようと」と説明。この日は「結果的にこの3連戦で6本打った。もうビッグベビーと言えなくなったね」と3戦連続マルチ安打と若き主砲の復調気配ににんまりだ。

岡本も等身大に計画を立てた。昨季は史上最年少で3割30本100打点を達成。それでもオフから「まだレギュラーとは思ってない」と謙虚な言葉を続けた。今季の目標に40本塁打を掲げ、1カ月のノルマを6本に設定。「先を見れば遠いので気持ち的にも楽になる」と自らをコントロールした。3、4月は7本とクリア。5月は2本に終わったが「気温も上がりますし、どんどんいきますよ」と気持ちを切り替えた。

6月は打率3割6分8厘と言葉通りにバットが温まってきた。本塁打も2年連続の2桁に到達。再び打線の真ん中に戻るために「ビッグアーチ」を量産する。【桑原幹久】