鉄腕の快投で最後の1枠に滑り込んだ。明治安田生命・大久保匠投手(29)が、セガサミーを相手に8安打完封を果たし、チームを4年ぶり6回目の本戦出場に導いた。

「負けたら終わり、やるしかない」。4日の第2代表決定戦・NTT東日本戦で先発し1失点完投したものの、相手投手のノーヒットノーランの活躍に屈した。チームは5日の第3代表決定戦も敗れ、中1日で再び回ってきた先発の舞台。「完全試合しかない」と意気込みマウンドに上がったが、先頭打者に安打を許した。しかし、「1人目で終わっちゃった。でも、これが俺なんだ」と気持ちを切り替え、後続を断った。以降は野手の大量援護もあり、「楽な気持ちで投げられた。野手のおかげ」と感謝の気持ちを忘れなかった。

成島監督から絶大な信頼を寄せられる。本戦に向け後がない状況で好投し、「あいつの気持ちに期待した。中1日でよく熱投した。それに尽きる」とたたえられた。9回2死一、二塁のピンチでは、マウンドに向かおうとする監督に「来ないで。代えられたら困る」と心の中でつぶやいた。予想に反し、かけられた言葉は「代えないからしっかりやってこい」の一言だけ。期待に応え、三ゴロに打ち取り、試合を締めた。

本戦で勝ちたい。チームは後楽園時代の82年に4強に進んだが、東京ドームになってからはまだ白星を挙げられていない。大久保は「まず1勝。観客、職員に感動してもらえるような戦いをしたい。大久保、大久保、雨、大久保。いつでも投げますよ」と笑い、本戦を見据えた。