巨人に2年目の「新星」が現れた。2試合連続スタメンの若林晃弘内野手(25)が、プロ初本塁打となる同点2ランを放った。元大洋の憲一氏(66)を父に持ち、打撃では両打ち、守備では内外野守れる超万能プレーヤーの1発で流れを引き寄せ、ロッテに逆転勝ち。若きヒーローの活躍で、チームは2位に浮上した。

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父と作り上げた左打席から、若林はプロ入り初の放物線を描いた。2点を追う4回2死一塁。2ボールからの内角直球に対し、「無心だったので、あまり覚えてません」と肘をたたみながら、鋭く反応。右翼ポール際に運ぶ同点2ランで流れを変え、逆転勝利に貢献した。

若林 作った左。ここまで打てるように基礎を教えてくれたのは父。小さい頃からコンパクトにキレで打てと。感謝したいです。

親子鷹の猛特訓が、野球人としてのスピリットを形成させた。初めてプラスチックのバットを手にしたのは3歳。姉の投げるゴムボールをきれいに打ち返し、驚かせた。元々は右打ちだったが、父の助言で両打ちに転向。中学時代はクラブチームの練習後、実家の練習スペースで深夜11時ごろまでバットを振り込んだ。

桐蔭学園、法大、JX-ENEOSと名門を歩み、プロ入り。即戦力と期待されたが、1年目はわずか1安打に終わった。今季は4月7日に初昇格も同17日の広島戦で右腕に死球を受け、翌18日に抹消。山本ら同世代の内野手の活躍は、刺激と同時に危機感も募らせた。今月1日に2度目の昇格が決まると「社会人卒で結果が求められる。ここでダメなら終わる」と覚悟を固め、2戦連続スタメンに結果で応えた。

原監督の目にも「キレ味があるし、見事でした」と父からの教えが輝いて映った。両親も見守る中、初めてお立ち台に上がった若林は「すごく気持ちいいです」と大歓声を全身で受け止めた。親子で築き上げ、かなえたプロ入りの夢。父への感謝の思いを活躍で恩返しする。【久保賢吾】

◆若林晃弘(わかばやし・あきひろ)1993年(平5)8月26日、東京都生まれ。桐蔭学園3年夏に県大会4強。法大では4年秋に二塁手でベストナイン獲得。JX-ENEOSを経て、17年ドラフト6位で巨人入団。18年5月12日中日戦でプロ初出場。180センチ、77キロ。右投げ両打ち。今季推定年俸880万円。