涼しげに、役目を全うした。日本ハム金子弌大投手(35)が阪神戦で、今季最多91球の力投で3勝目を挙げた。直球を軸に冷静に要所を締め、今季最長6回を投げ切り3安打無失点。百戦錬磨の右腕が自身2連勝を飾り、夏本番へ調子を上げてきた。

阪神ファンの熱気を、シャットアウトした。「今日は、しっかり直球でカウントを取れていたのは良かった」。最速146キロの直球が、勝因になった。持ち味のスライダーやカットボール、チェンジアップなど多彩な変化球が生き、打者を翻弄(ほんろう)した。「直球でしっかりコントロール出来た。ここ最近の中では、しっかり投げられた」と手応え十分だった。

甲子園での勝利は、13年に完封勝利を挙げて以来。今回も「自分では、最後まで投げるつもりでした」。前回登板後の5月29日に出場選手登録を抹消され、登板間隔は中10日だった。「言われたところで投げるのが、仕事だと思っている。もうちょっと球数を減らして、抑えることが第一ですけど」。満足することなく、次回以降への課題の1つに挙げた。

栗山監督は「さすが、間を空けてコンディショニングしたら真っすぐも良かった。大事な試合だったので良かった」と最敬礼した。チームは3連勝で、交流戦2カード連続勝ち越し。金子は長野商2年春に甲子園出場を果たし、社会人トヨタ自動車を経てプロ入りした。「こういうことを、続けていきたい」。35歳の投手最年長は、聖地で一層、頼もしくなった姿を刻んだ。【田中彩友美】