日本ハムは2018年で北海道移転15年。過去の名場面、珍場面を、当時の紙面とともに振り返ります。

<10年5月9日付>

近年、全国の球場で「ホームランテラス」などが増設されているのは、観戦するファンがホームランを求める傾向にあるから。だが、こんな「息詰まる投手戦」も、プロ野球の魅力であり、球史に残る名勝負である。ダルビッシュがマウンドに上がった函館での楽天戦、相手先発は岩隈だった。

成績を列記するだけで、この日の観衆1万8823人が、どれだけ「いいものを見た」かがわかるだろう。【ダルビッシュ 9回156球6安打11奪三振2四球無失点】【岩隈 9回127球7安打7奪三振無四球無失点】。ともにスコアボードに「0」を9つ並べ、マウンドを降りた。「ダルビッシュの投球を見ていたら、途中から『1点もやれない』と思った」と振り返った岩隈に対し、ダルビッシュは「岩隈さんがゴロが多いから、見ている人がつまらないと思って三振を狙いにいきました。そういうことにしておいてください」と、ジョークを交えて回想した。

ダルビッシュは5回に2つの暴投でピンチを招いた。球種はどちらもフォーク。すると6回以降は同球種を封印。カーブとスライダーを軸に変え、アウトを重ねた。修正能力の高さが際立った。

試合は10回、稲葉のサヨナラ打で日本ハムが勝った。チームは敗れたが、岩隈は「投げ合えるのはうれしいし、楽しいですよ」と素直に言った。2人の投げ合いはこの後、レンジャーズ対マリナーズのメジャーでも3度実現。対戦成績はダルビッシュの2勝1敗だ。