頼れる2番打者の一振りが、7月13勝目を呼び込んだ。日本ハム大田泰示外野手(29)が、オリックス13回戦(ほっともっと神戸)の同点で迎えた5回1死一、二塁から、勝ち越しの左前適時打を放った。疲労などから3日に出場選手登録を抹消され、2年連続で球宴出場辞退と悔しい思いをした男が、戦列復帰後初の決勝打。7月13勝4敗のチームは、貯金を今季最多タイの8とした。

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迷わず、振り抜いた。2-2の同点で迎えた5回無死一、二塁。大田は先発山岡の投じた131キロのスライダーを強振し、左前へと運んだ。均衡を破る、勝ち越し適時打。「良い場面で打てた。有原も粘って投げているので、勝ち越すことが出来て良かった。(西川)遥輝もつないでくれて、良い形で点に結びつけられたと思う」。蒸し暑さの中、粘投する先発有原を援護する大きな一打。バットで貢献できたことを素直に喜んだ。

第1打席は山岡のスライダーに空振り三振に抑えられるなど、前2打席を凡退していた。試合前までの通算対戦成績でも16打数1安打、7三振と苦手としていた。「良い投手なので甘い球はなかなかこない。集中して振り抜くことができた。(凡退した打席の)修正ができたし、山岡の球威も落ちてきていた。しっかり感じ取って打てた」。ここぞという場面を、しっかりものにした。

体調不良から、はい上がった。今季は開幕からチームでただ1人、スタメン出場を続けていた。だが、腰の張りや全身の疲労感から、3日に1軍の出場選手登録を抹消された。球宴も2年連続プラスワン投票で選出されていたが、ケガで辞退した昨年に続き2年連続で欠場。移籍1、2年目ともに故障に泣き、今年はシーズン“完走”を目標としていた男は、「1試合1試合、1打席1打席を大事にしていくということが大事になる」と気持ちを切り替えた。

これで戦列復帰後7試合連続の安打。チームは3カード連続の勝ち越しを決め、球宴後8試合を7勝1敗と快進撃を続けている。栗山監督は、首位ソフトバンクを3差で追う現状を「チームがここからの2カ月間でどれだけ強くなれるかが大事。そこに向かって必死にやっていく」と意気込んだ。「(チームの)歯車がかみ合っていて、良い雰囲気だと思う」と大田。V争いが佳境に向かう後半戦、背番号5がチームを勢いづける。【山崎純一】

<日本ハムでの大田の実績>

◆移籍1年目17年 2月のキャンプ中に左脇腹を痛め、3月のオープン戦で再発。左腹斜筋筋挫傷と診断され、開幕は2軍スタートとなった。4月23日西武戦に先発で移籍後初出場。118試合で打率2割5分8厘、15本塁打、46打点。

◆移籍2年目18年 キャンプ、オープン戦を順調にこなし、3月30日西武との開幕戦に7番左翼で先発フル出場した。6月末までに13本塁打と主力として活躍も、7月8日ロッテ戦で死球を受けて左手第5中手骨を骨折。8月25日楽天戦での復帰まで48日かかった。104試合で打率2割7分4厘、14本塁打、59打点。