矢野阪神にトリプルショックだ。投壊とミス連発で今季最大の4点差をひっくり返され、11失点の大惨敗。3位広島との直接対決でゲーム差を今季最大の6・5差に広げられ、CS進出が厳しくなった。自力Vも3度目の消滅。さらに糸井嘉男外野手(38)も2回に盗塁死した際、左足を痛めて病院へ直行。チーム唯一の3割打者が離脱危機に陥った。

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虎が激流にのみ込まれた。4点リードで迎えた4回。3連打で1点を返され、なお1死一、三塁。5番松山の空振り三振で、一塁走者の鈴木がスタートを切った。すかさず捕手原口が二塁カバーの北條に送球。だがボールは大きくそれて外野を転がり、三塁走者の菊池涼は悠々と本塁へ-。屈辱的な重盗を決められた。

3回までパーフェクト投球を続けていた左腕高橋遥も、カープ得意の「足攻め」でグラっと揺れた。続く会沢の中前打で2死一、三塁とされると、7番メヒアには外角高めの145キロを大きなスイングでガツン。右翼ポール際に痛すぎる3ランを被弾し、試合をひっくり返された。リーグ3連覇の常勝軍団に染みついた足技が、ボディーブローのように効いた。

虎党が目を覆いたくなるようなシーンもあった。2回に2点適時打を放った糸井が、直後に二盗を狙った際に左足を負傷。その裏の守備からベンチに退くと、試合中に大阪市内の病院へ直行した。診断は左足首の関節炎。試合直後の矢野監督は「ちょっと、まだわからない」としたが、10日以降の出場は当日の状態を見て判断することになった。チーム唯一の3割打者が離脱となればチームにとって一大事だ。

課題の守備ミスも傷口を広げた。4回にダブルスチールを決められる直前、無死一、二塁で鈴木の打球を三塁手大山がファンブル。併殺のはずが、1死一、三塁の状況を作り出し、逆転を許すきっかけになった。1点差で迎えた9回は、浜地が1死一塁から投ゴロを二塁に悪送球。走者をため、サンドバッグ状態の5失点につながった。これが昨年に並ぶ12球団ワーストのチーム89失策。見飽きた光景にため息が充満した。

CS圏内の3位との差は今季最大6・5ゲーム差に開いた。巨人が勝利したため自力Vも3度目の消滅。さらに糸井までいなくなれば…。矢野監督は試合後にナインを集め、緊急ミーティングを開催。力を込めた。「やっぱり結果で示すっていうのがプロにはある。今すぐに出来ることは胸張って前向いて、今日の悔しさをどう返していくか」。今季最大の逆境に下を向かず、みんなではね返すしかない。【桝井聡】

▽阪神久慈内野守備走塁コーチ(4回無死一、二塁で大山が三ゴロを併殺打にできず)「今日のターニングポイント。あそこでセカンド1つしか取れなかった。本当に反省してほしい」

▽阪神福原投手コーチ(先発した高橋遥に)「ボールはよかった。ゴロで打たせてましたし。最後の長打だけ。ボール自体はよかったです」

▼阪神の自力優勝の可能性が消滅した。阪神は残り38試合に全勝しても、最終成績は85勝53敗5分けで勝率6割1分6厘。巨人は阪神戦9試合に全敗しても、他球団との32戦に全勝すれば87勝54敗2分けで6割1分7厘となり、阪神を上回るため。

▼阪神の今季失策数が89となり、105試合目にして昨年のチーム失策数と並んだ。シーズン換算で121失策ペース。00年101失策以来となる、年間3桁失策を計上することが濃厚だ。なお2リーグ分立後の球団ワーストは50年の197失策。なおセ・リーグ最多は50年西日本の235失策。プロ野球最多は、1リーグ時代40年の南海253失策。