巨人原監督が絶妙な駆け引きでサヨナラ勝ちへと導いた。延長11回。先頭重信が右前打で出塁した。ベンチに残す野手は石川、小林、増田大。代打の手駒は多くはない。無死一塁、11回から登板した田口をそのまま打席に送り、バントの構えをさせて、バッテリーの意識を引きつけた。

「2つの決断があった。その役割という点では田口が役割を終えて、なおかつ2ボールというカウントでバトンを渡したというのがいい感じで回った」

1ボールからの2球目に重信の二盗が決まると、満を持して動いた。2ボールから代打石川を送り、劇的サヨナラ弾へとつなげた。田口の打席で犠打を優先するならば代打小林が妥当。だが、あえて田口を打席に立たせたところに作戦の妙がある。指揮官は「まあまあ、僕の説明は終わり。戦術だからね」と核心は伏せた。

巧みなベンチワークで同一カードの連敗を5で止めた。2位広島と6・5ゲーム、3位DeNAと7ゲーム差でペナントレースを進む。「本来はすんなり勝ちゲームにしなければいけない試合。その中で結果的にサヨナラ勝ちを得たというのは大きいと思います」と1勝をかみしめた。優勝マジック20を点灯させるも「まだ大きすぎる。達観したところで見ておくというところです」と締めた。【為田聡史】