日本野球機構(NPB)は3日、広島サビエル・バティスタ外野手(27)にアンチ・ドーピング規定違反に対する制裁として、9月3日から20年3月2日まで6カ月の出場停止処分を科した、と発表した。

この間は球団施設の使用が禁止されるため、練習試合、オープン戦などにも参加できない。

6月7日のソフトバンク戦(マツダ)で尿検体が採取され、7月24日に分析機関からクロミフェンとその代謝物であるヒドロクロミフェンが検出されたと報告があった。同物質は、世界アンチ・ドーピング機関(WADA)が「S4.ホルモン調整薬」として禁止物質にしている。同26日に球団関係者が立ち会いの下、バティスタに事情説明の機会を設けたが、同選手は意図的な摂取がないと述べた。また、今回の検査の正当性には異議がないことを確認した。

8月16日にはバティスタの希望でB検体を分析したが、A検体と同じ物質が検出された。同21日には、あらためて弁明の機会が設けられ、意図的な摂取がないこと、検査の正当性に異議がないことを確認した。これらの経緯からNPBアンチ・ドーピング調査裁定委員会が開かれ、9月3日に広島球団を通じて本人に処分が通告された。バティスタは17日までに異議申し立てが認められている。

ホルモン調整薬は、筋肉増強剤などを使用した際にホルモンバランスが崩れることを抑える効果が期待される。NPBで今回のクロミフェンが検出されたのは初めて。同物質は、体内で生成されるものではない。今季はオリックスのジョーイ・メネセス内野手(27)が筋肉増強剤の「スタノゾロール」検出で1年間の出場停止処分を受けている。薬物の違いが、処分期間の長短に反映された。

同委員会委員長の斉藤惇コミッショナーは「今シーズン2例目ということを大変残念に思っている。公正なプロ野球を維持していかなければならない。来年は東京五輪もあるので、この問題には厳正に対応していかなければならない。あらためて選手自身に注意していただく必要があるが、我々も球団とともに啓発活動に力を入れていきたい」とコメントを発表した。

プロ野球でのドーピング違反は、バティスタが7人目となる。