「メッセ魂」であと1勝! 阪神がクライマックスシリーズ(CS)進出に王手をかけた。ランディ・メッセンジャー投手(38)の引退試合でナインが奮起。近本、北條が好守で先制を阻むと5回以降、代打陽川の先制アーチや高山、梅野らの適時打で流れを引き寄せた。投手陣も7人の継投でリードを守りきり快勝。公式戦最終戦の30日中日戦に勝てば、2年ぶりのCS進出が決まる。

      ◇       ◇

魂を揺さぶられるメッセンジャーの最後の6球だった。プレーボール直後の甲子園。守る野手も、ブルペンでモニターを見守る救援陣も武者震いした。試合後の矢野監督の言葉が思いを表していた。「もう、めちゃくちゃうれしい。勝つ負けるのは思い出として全然違う。ランディの最後に勝てたのは大きい」。剛腕にささげる1勝になった。

序盤から球際での執念が光った。1回2死二塁。ビシエドの詰まった中前への打球を、近本が地面スレスレで好捕。5回2死二塁では大島の三遊間への打球に三塁北條がダイブ。好守連発で先制を阻み、全員が闘志をつないだ。

指揮官も攻めた。2回2死一、二塁の先制機で2番手高橋遥に代打原口。得点ならずも手を緩めない。5回は2死走者なしで代打陽川が先制弾。用兵が的中した。6回は1死満塁で打席は高山。相手は柳から左腕福に継投したが、代打は送らず。前進守備を破る中前への2点打を決め、梅野も初球を中前適時打。集中打で、この回3点を挙げた。

高山 僕の技術で打ったヒットではなく、メッセへの思いと応援してくれているファンの方々の声援が後押ししてくれた。

梅野 (正捕手定着前)自分が打つからランディが指名してくれて試合に出られるようになった。だから打って活躍したいと思った。恩返しできてよかった。

全員で去りゆく助っ人に白星を届けた。5連勝で3カ月ぶりの勝率5割。30日は勝てばCS進出、引き分け、負けでCSを逃す大一番だ。矢野監督は「やるしかないんでね。楽しみにしています」。全身全霊で戦う。【酒井俊作】