佐々岡カープが「ワン・チーム」の精神で始動した。広島の秋季練習が9日、マツダスタジアムでスタート。

佐々岡真司新監督(52)は、参加した27選手に「みんなで一体感をもってやっていきましょう」とあいさつ。宣言通りに投手野手合同の守備練習を行い、目指すチーム像を示した。「佐々岡色」をはっきりと打ちだし、一丸となってV奪回に乗り出していく。

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グラウンドでつくった円陣の中、佐々岡新監督がナインに語りかけた。「今年の悔しさを反省して、今日からレベルアップしていきましょう。みんなで一体感をもってやっていきましょう」。チームづくりの指針を、短い言葉で表した。

投手野手合同ノックに、新監督としての思いを込めた。選手を守備位置の区別なく4組に分け、一塁、二塁、遊撃、外野の4カ所を10分ごとに移動させてノックを行った。佐々岡監督は「みんなでアップして、みんなでノックしようというのはコーチ陣と話をしていた」と説明。「野球というものは1人でできない。選手だけでなくコーチ、裏方さん、1つの目標に向かって全員がいっしょの気持ちになってやらないと」と意図を明かした。

新しい試みに、選手は敏感に反応した。大瀬良は鈴木、松山らと同組になり、外野ノックの際は松山に専用のグラブを借りた。「めちゃくちゃ難しいですね。走りながら捕るとボールが動く。こんなのを普通に捕っているんだと思って、感謝の気持ちが大きくなった。いろんなことを考えさせられる、いい練習でした」。野手心理の一端を知り、大きな刺激を受けていた。

佐々岡監督はこの日、次々と選手、スタッフに声をかけた。コミュニケーションの大切さを、現役時代から感じていたという。「アップをしているときとか、そういう時間もあるでしょうし、話すときもあるでしょう」。投手コーチだった今季も、イニング間ごとにベンチで投手に声をかけるなど、独自のやり方で防御率を昨年の4・12から3・68に良化させた。今度は投手と野手の距離をこれまでに以上に縮めていく。

「監督と言われるのが照れくさい」と言いながら、目指す方向性をはっきりと示した。佐々岡カープが力強く船出した。【村野森】