山賊から快音が消えた。西武がソフトバンクに2安打無得点に抑えられ完敗。球団史上、CSファイナルステージでは初めての無得点負けという屈辱を味わった。辻発彦監督(60)は「完敗だったね。千賀が良かった。接戦に持ち込まないといけないんだけど。7イニングで先頭打者を出していたら、大量失点になる確率は高い」と完敗を認めた。

3試合連続で初回に失点を許した。十亀が4回5失点と粘れず、打線は千賀を前に急ブレーキをかけられた。走者を得点圏に進めたのは1、6回の2度だけ。勝負どころで力を入れる千賀に、辻監督は「力みがない。カットボールがやっかいだったね。あれだけ打てないんだから、良かったんだろうね」。直球、フォークボール、スライダーの中に織り交ぜる第4の球種に、ゼロ行進を許すしかなかった。

前夜は7点を追う展開から2点差まで追い詰めた。ブルペン陣を引きずり出し「相手も脅威に感じていると思う」とプレッシャーをかけていたが、安打も2本だけ。糸口を見つけることも難しかった。崖っぷちに追い込まれ、13日に第4戦を迎える。「もう後がない。やるしかない。びびることはないんだから。この台風で(悪い)運も持っていってくれたら。まだ分からない。1つ勝ったら3つあるかも。野球は分からないんだから」。言い聞かせるように雨の球場を後にした。【栗田成芳】