CSで敗退した阪神が今オフ、大砲獲得に乗り出すことが13日、分かった。今夏の渡米視察でパトリック・キブルハン内野手(29=ブルージェイズ3A)とパトリック・ウィズダム内野手(28=レンジャーズ3A)を調査したことが判明。

また、韓国プロ野球のキウムで今季28本塁打のジェリー・サンズ外野手(32)が有力候補に浮上した。なお、新たな1軍打撃コーチとして元中日の井上一樹氏(48)の就任が決定的になっている。

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阪神が攻撃力アップを目指して“ダブル補強”を敢行する。CSはファーストステージでDeNAを撃破したがファイナルステージで敗退。来季に向けて打撃部門をテコ入れする。レギュラーシーズンは、貧打で苦戦を強いられた。チーム538得点は12球団最少。94本塁打もリーグ5位だ。長打力不足を解消する大砲補強が課題だ。

内外野問わず、スラッガーを調査する。今夏の渡米視察ではキブルハンとウィズダムを現地でチェックしていたことが判明。ともに20代と若い、右打ちの飛ばし屋だ。キブルハンはメジャー通算10本塁打にとどまるが、今季3Aで29発などマイナー通算134本塁打。ウィズダムもメジャー通算4本塁打ながら今季3Aでアーチ31本。マイナー通算131発のパワーは魅力だ。球団首脳も「いい打者ですよね」と力量を評価するなど、継続的に調査する好素材だ。

今年は来日1年目のマルテが打率2割8分4厘と奮闘したが、12本塁打にとどまり飛距離は物足りない。球団は韓国球界も注視。首脳が「リストに入っています。若いマギーみたいですね」と話すのは、キウムでプレーするサンズだ。今季は打率3割5厘、28本塁打の好成績で、113打点で打点王に輝いた。楽天、巨人で活躍したマギーになぞらえる。長打力と勝負強さを持ち、コンパクトに打てる長所は魅力。渡韓調査で注目し、球団内の評価も高い。ポストシーズンを戦っており、動向に注視する。

また、指導部門もメスを入れる。来季の1軍打撃コーチを模索。井上一樹氏を招聘(しょうへい)する方針を固め、就任が決定的になった。中日での現役時は勝負強い打撃で活躍。09年の引退後は中日で1軍打撃コーチを3シーズン務め、11年は2軍監督としてウエスタン・リーグで優勝した。矢野監督の信頼も厚い。指揮官が3学年上だが、中日入団は井上氏が1年先。若手時代に苦楽を共にした。プライベートでの結びつきは強く、交流が途切れることはなかった。矢野監督が2軍監督を務めた昨季は、経験者である同氏にアドバイスを求めることもあった。来年は指揮官の片腕として、期待が集まる。新助っ人、新コーチ…。覇権奪回を目指して、急ピッチで態勢を整えていく。

◆井上一樹(いのうえ・かずき)1971年(昭46)7月25日生まれ、鹿児島県出身。鹿児島商から89年ドラフト2位で投手として中日入り。91、92年に9試合登板した後、外野手に転向。09年引退。通算1215試合、863安打、79本塁打、349打点、打率2割7分5厘。現役時代は184センチ、93キロ。左投げ左打ち。引退後は中日でコーチを務めた。

◆パトリック・キブルハン 1989年12月22日生まれ、米ニューヨーク州出身。ラトガース大から12年ドラフト4巡目でマリナーズと契約。16年にパドレスでメジャーデビュー。17年にはレッズで115試合に出場し9本塁打。メジャー実働3年で132試合、44安打、10本塁打、28打点、打率2割8厘。今季は3Aと2A計125試合で32本塁打。188センチ、101キロ。右投げ右打ち。

◆ジェリー・サンズ 1987年9月28日生まれ、米ニューヨーク州出身。カタウバ大から08年ドラフト25巡目でドジャースと契約。11年メジャーデビューし同年61試合に出場。メジャー実働5年で156試合、100安打、10本塁打、57打点、打率2割3分8厘。今季は韓国キウムに所属し、139試合で160安打、28本塁打、113打点、打率3割5厘。193センチ、105キロ。右投げ右打ち。

◆パトリック・ウィスダム 1991年8月27日生まれ、米カリフォルニア州出身。セントマリーズ大から12年ドラフト1巡目でカージナルスと契約。18年にメジャーデビュー。メジャー実働2年で41試合、17安打、4本塁打、11打点、打率2割2分4厘。今季レンジャーズ3Aで107試合に出場し、31本塁打を放った。188センチ、99キロ。右投げ右打ち。