虎の「おかわり君」になるぞ! 阪神ドラフト2位の履正社・井上広大外野手(18)が21日、大阪・豊中市内の同校で、畑山統括スカウトらから指名あいさつを受けた。夏の甲子園を制した高校通算49本塁打の大砲は、実は履正社NO・1の大食漢。西武中村剛也内野手(36)のようにホームランを“おかわり”して、日本の4番を背負うバッターになる意気込みだ。

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身長187センチ、体重96キロ。井上のどっしりとした体格に主砲の香りが漂う。「持ち味は、ホームランを打つことだと思います。ホームランを打ってファンの皆さんを喜ばせたいなと思います」。阪神から指名あいさつを受けた未来の4番候補は、夢をふくらませた。

担当の渡辺スカウトも「あれだけの体がある」とほれ込む体格。実は履正社随一の大食漢だった。豪快なエピソードが次々に出てきた。中学時代は毎日、お昼のお弁当で米3合。茶わん約6杯分の白米をぺろりとたいらげた。高校では、チームメートと焼き肉食べ放題に行けば、注文はいきなり「メニュー全部、人数分」。タン、カルビ、ロース、ハラミ…。止まらないオーダーに店員も追いつかない。周囲も驚く大食いでその肉体は作り上げられた。

そんな大食漢も高校野球の引退で若干脂肪が増え、現在は「減量中」だ。11月まではタンパク質中心の食事と練習で約90キロまで体を絞るという。その後、筋肉を付けて約95キロまで増やし、さらにがっちりした“プロ仕様”の肉体を目指す。

今夏の甲子園では決勝で星稜・奥川(ヤクルト・ドラフト1位)から決勝3ランを放つなど3本塁打をマーク。本拠地となる聖地には、当然イメージがある。「甲子園で3本打っているので、チームに貢献できるように頑張りたいと思います」。もちろんプロでも本塁打をおかわりする。目指すは西武中村剛也のようなアーチスト、“虎のおかわり君”だ。中村は175センチ、102キロ。井上はさらにスケールが大きいおかわり君になる期待を秘める。

対戦したい投手に巨人のエース菅野を挙げる。さらに奥川、大船渡・佐々木(ロッテ・ドラフト1位)ら「いいライバル」と意識する甲子園のスターたちも続々ドラフト指名を受けた。目標の40本塁打を目指し、そんな好投手を、次々とたいらげる意気込みだ。

「巨人の岡本和真選手のように、一振りで流れを変えられるようなバッターになりたい。球界を代表するバッターになって、日本の4番を打てるように頑張りたいと思います」。阪神待望の和製大砲、そして侍JAPANの4番へ。夢もデッカく頼もしい。【磯綾乃】

○…履正社OBの阪神坂本が後輩井上のバックアップを約束した。西宮市内の球団施設を訪れ、「分からないことがあれば僕でもいいし、いろんな人に聞いてくれれば。恥ずかしがるよりはいい。サポートしてあげたい」とウエルカム。岡田監督と井上を交えた食事会を開催して後方支援する。

▽阪神渡辺スカウト「自分の中で一番の評価をしていた選手だった。試合も一番見た選手。守備も肩も強いし、走らせたら意外と速い。将来チームを背負っていけるような選手になっていってくれたらと思います」

◆球界の大食い伝説 阪神では代打の切り札として活躍した川藤幸三が有名。うどん14杯にいなりずし32個のチーム記録を誇っていた。王貞治(巨人)は中華フルコース3人前に、そば30杯を食べた伝説も。野茂英雄(近鉄)は、すし120貫を食べたこともあったという。また、早大時代ソフトボール部員だったことで知られる大嶋匠は学生時代、部の後輩と2人で焼き肉40人前を平らげた。

<履正社・井上広大アラカルト>

◆名前 井上広大(いのうえ・こうた)

◆生まれ 2001年(平13)8月12日、大阪府大東市出身。

◆経歴 南郷小でソフトボールを始め、南郷中では東大阪シニアで捕手。履正社では1年夏からベンチ入り。

◆尊敬する人 履正社の先輩、ヤクルト山田哲人。

◆好きな食べ物 カレー、ハンバーグ。

◆嫌いな食べ物 なす。

◆好きなタレント 千鳥。

◆好きな言葉 努力、素直。

◆趣味 読書。

◆タイプ 187センチ、96キロ。右投げ右打ち。