昨オフに大腸がんを患いながら病を乗り越えた阪神原口文仁捕手(27)が24日、西宮市内の球団事務所で会見を行い、闘病の経緯や詳細を公表。「皆さん(報道陣)を通じて少しでも力になれるように、と思って、今この立場を借りて発信していきたいと思っています」と意図を説明して始まった会見を1部、2部に分けてお届けする。

主な内容は以下の通り。

-公表するにいたったの経緯

原口 シーズン中からどのタイミングがいいのかなとすごく考えてまして、先日チャリティー先の(チャイルド)ケモ・ハウスに訪問したときも子どもたちの頑張っている姿にすごく勇気づけられた。(ケモ・ハウスの)院長先生からも背中をおしていただいた。それで球団の方にも相談してこういう形になった。「発表するのは良くないのではないか」という意見もあったのですが、最初に発表したときに「使命」と自分で言っていて、病気をしてから詳細を話してなかったので、その中でここまでやれるっていうところを、今病気で頑張ってる人たちに、発表することによって治療しながらでも仕事復帰できる、スポーツができるっていう思いで発表したいなと考えました。

-転移などは

原口 なかったです。順調に経過良好で今ここにいます。

-ステージ3だとリンパに近かったっていうのもあって全部取り除いた

原口 そうですね。先生にもよくしてもらって全部とれたので心配ないよと言われた。

-手術は

原口 おへその上下5センチくらいと内視鏡で4ケ所。

-病気を経て学んだことは

原口 命ってすごく限りあるなと思いました。いつかは来るもの、それがいざこの年齢で間近に来てそういうものを感じました。今まで生きてきた人生で満足だったとか、まだまだできたんじゃないかとか、そういうのはすごく思ってもっと大切に時間を使わないと、と思った。

-今後も定期健診を

原口 半年に1回は大きな検査を5年は続けていく。

-家族の存在も大きかった

原口 家に帰る時間とかはすごく大切な時間で、オンとオフの切り替えができた。心がリラックスできてまたリセットして頑張ろうと思えるきっかけを作ってもらったので本当にありがたいなと思います。

-これから描く野球人生は

原口 レギュラーをとってたくさん活躍して、チームの中心で成績を残して背中で引っ張っていけるような選手になりたいと思っている。そこを目標にしてます。そうやって頑張ることで今日ここで発表した意味っていうのもあると思う。多くの人に頑張っているところを届けられたら。野球選手として野球も頑張るけど、違う方向でいろんな人を勇気づけられたら自分の中で大きな意味もある。頑張っていく1つの理由でもある。そういう意味で野球で結果を残さないとという責任を感じています。

-今シーズン思うことは

原口 節目節目で結果を出せたのはよかったですし、そういうところで打てるのも、なかなか自分で打とうと思っても打てないと思う。でも結果が出るということはたくさんの方の思いが生んでくれてるのではないかと思ってすごく感謝の気持ちでいっぱいです。

-悔しさはあるか

原口 試合に出られないことも悔しさですし、チームが負けたのも悔しさ。こういう気持ちを感じていられているので、悔しさを感じていられるのもありがたい。そういうのをこれからも返していけるようにしていきたい。

-野球との向き合い方の変化は

原口 やっぱり、今までは野球で悩むのはつらいことだったけど、考え方ひとつで幸せにもとらえられるし、なんてありがたいことなんだってとらえられる。そういった部分ではすごく自分の悩みが小さく感じたりっていうのはすごくありました。だからもっとやればいいじゃん、時間はたくさんあるんだし。やれることをやろうと、自分のできることを思いっきりやってという感じですね。

-自分の好きなことを職業にできて、幸せをより感じられているのでは

原口 本当にそうですね。野球がなかったらどうなってたかわからないです。野球がすごくいろんなことを忘れさせてくれた。やっぱり熱中するものって見つけられないとおもいますけど、何かが見つかったときは人生が変わるタイミングだと思うので、そういうものをひとりでも多くの人に見つけてもらって人生楽しんでほしい。

-来季のスローガンはどうか

原口 監督の目指しているそのままだなと、すごいなと。あんなところに「笑」が入るとは驚きです。監督がやろうとしているチームのスタイルだなと思います。

-来年2月のキャンプは普通通りに臨めるか

原口 もちろんです。

(最後に)今日ここにみなさん集まってもらって、暗いイメージとかではなく明るい材料で使ってほしいというのが僕の気持ち。元気に振り返れるんですよっ、ていうのを伝えてもらったらありがたいです。これだけの病気をしても現場に復帰してやれるんだよ、というところを伝えていただいたら。今そうやって闘っている人たちに「僕も、私も、やれるんじゃないかな」と思ってもらえることが発表の意味だと思う。

(さらに続けて)今日ここで発表したことはこれからずっとついて回ると思うので、そのために結果を残して頑張りたいという思いで発表させてもらってます。体についての心配は全然いらないです。野球のけがだけはしないように。