犬鷲、日の丸、そして家族の大黒柱になる。楽天松井裕樹投手(24)が来季の先発転向を明言した。17日、仙台市内の球団事務所で契約を更改。1億4000万円増の年俸2億5000万円プラス出来高で新たに4年契約を結んだ。

今季は自己最多38セーブで自身初のセーブ王を獲得。地元横浜で開催される東京オリンピック(五輪)のマウンドを見据え、転向を決断した。昨年12月に結婚した女優石橋杏奈(27)との間に来夏、第1子が誕生予定。公私ともに“一家”を支えていく。(金額は推定)

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4年10億円以上の大型契約には2つの狙いがある。1つはフリーエージェント(FA)。高卒1年目から1軍で戦う松井は、早ければ21年に国内FA権、22年に海外FA権を取得する。4年契約なら両権利取得後も、1年間は楽天での契約が残る。安部井チーム統括本部長は「彼がどれくらいチームに必要かを年数で彼に見せたかった」と説明。松井も「FAをとっても楽天でやってほしいという球団の誠意という形で、金額も普通の評価よりも乗せていただいた。ありがたいです」と感謝を口にした。

2つ目は、投手事情だ。今季先発の柱として唯一ローテを守り、リーグで5人しかいない規定投球回に到達した美馬がFAでロッテへ移籍。岸、則本昂の2本柱も、今季は故障により離脱が続いた。守護神が不在となるが、同チーム統括本部長は「松井が先発にいった方がプラスになるという判断。リスクになるとは思っていない」と言い切る。チームの今季救援防御率はリーグトップの3・07。来季の守護神にはブセニッツ、森原らが控える。球団は先発第3の柱づくり、そして抑えから先発の軸へ飛躍してもらうための4年間を、大型契約として整えた。【桑原幹久】