虎のジョーカーだ! 阪神は19日、新外国人としてソフトバンクを退団した最速161キロ右腕・ロベルト・スアレス投手(28=前ソフトバンク)の獲得を発表した。単年契約で年俸は8000万円。中継ぎ起用が基本路線だが、矢野燿大監督(51)は先発も含めた柔軟な起用を想定。来季は球団史上最多となる開幕8人助っ人制を敷く中で、マルチなバリエーションを増やす。(金額は推定)

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最速161キロの新助っ人右腕は、ジョーカーになり得る。スアレス獲得の正式発表を受け、矢野監督が起用法をイメージした。「両方いけるんちゃうかなっていうのもある。ちょっと見てみないと分からないけど。外国人枠の競争というのもある。先発の状態が上がらなければ、先発もできるというのはプラス。こっちにとってありがたい選手」。経験豊富な中継ぎ起用が基本だが、場合によっては先発起用もアリ。来季は球団史上最多の開幕助っ人8人体制を敷く中で、4枠しかない外国人枠を考慮すれば貴重な存在になる。

スアレスはソフトバンク入団1年目の16年は中継ぎでフル回転し、58試合で2勝6敗1セーブ26ホールドの成績を残した。その年のクライマックスシリーズ・ファイナルステージ、日本ハム戦(札幌ドーム)で自己最速の161キロを計測。圧倒的なストレートが大きな武器だ。17年は右肘内側側副じん帯の再建手術(トミー・ジョン手術)を受け、18年から戦列に復帰。今季はチーム事情もあり、9試合中6試合に先発した。

今季0勝の結果から、手術の影響が心配されるが、ソフトバンクの球団内からも「トミー・ジョン手術から3年目となる来年はボールの力が戻るのでは」という声もあったという。調査を重ねた谷本球団副社長兼本部長も「科学的ではないですが」と前置きしつつ、「藤川投手もそうでしたけど、だいたい(術後)3年目くらいからかつてのように、それ以上という感じがある。トミー・ジョンをした選手は筋力も強くなると聞いている」と期待する。

まだ28歳という年齢も期待値が高い。スアレスは球団を通じて「体力的にも、まだまだやれる自信もありますし、阪神タイガースやタイガースファンのみなさんに自分と契約したことが良かったと言ってもらえるように頑張りたいです」と意気込みを語った。マルチな起用が見込める剛速球右腕。ジョンソンとドリスの退団を補うべく、打つべき手を打って15年ぶりV奪回を目指す。【桝井聡】

◆阪神来季の外国人枠争い 来季は球団史上最多の開幕助っ人8人体制を敷くがその分、外国人枠争いが激化する。野球協約で、外国人選手の出場選手登録は4人以内に限られ、野手または投手として同時に登録申請できるのは、それぞれ3人以内。投手2人、野手2人の登録が基本線となるが、先発要員のガンケル、ガルシア、セットアッパー候補のエドワーズを同時に登録すれば、野手は1人しか登録できない。4番候補のボーア、韓国打点王のサンズ、2年目マルテを同時に登録すれば、残された枠は投手1人。スアレスが先発、中継ぎの両方で起用できれば、バリエーションが生まれる。

◆ロベルト・スアレス 1991年3月1日生まれ、ベネズエラ・ボリバル州出身。アマチュア野球でプレー後、15年にメキシカンリーグで5勝0敗、23セーブ、防御率1・71の好成績を残す。メジャー球団との争奪戦の末、ソフトバンクと契約。来日1年目の16年には中継ぎとして26ホールドと活躍。同年のCSでは161キロをマークした。17年のWBCにベネズエラ代表として出場した際に右肘を故障。手術を受け同年はリハビリに専念。18年に復帰し、今季は6試合に先発したが0勝4敗とふるわず、オフに自由契約となった。188センチ、95キロ、右投げ右打ち。