阪神は20日、韓国キウムからFAとなっていたジェリー・サンズ外野手(32)の獲得を発表した。単年契約で年俸は1億2100万円。今季韓国プロ野球で打点王を獲得した右の大砲で、野手助っ人は4番候補のジャスティン・ボーア内野手(31)、2年目のジェフリー・マルテ内野手(28)の3人に。球団史上初めて、外国人野手トリオが開幕戦にスタメン出場する超ヘビー級打線が実現するかもしれない。(金額は推定)

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新たな虎の歴史を刻む可能性を背負い、サンズが乗り込んでくる。193センチ、102キロの重量級。今季113打点をマークし、韓国プロ野球で打点王のタイトルに輝いた右の長距離砲だ。メジャー通算10本塁打だが、マイナーでは通算180発。「来季、優勝するためには得点力を上げることが必要だと聞きましたので、打点を稼いで貢献したい。今から、阪神タイガースのユニホームを着てプレーをすることに気持ちが高ぶっています」と頼もしくコメントした。

サンズが加入することで超重量級打線の夢が広がる。矢野監督も「勝負強い打撃をもちろん一番期待している。(打撃に)柔らかさもある」と大きな期待を寄せる。メジャー通算92発のボーアは4番の最有力候補で一塁手。一塁と外野を守るサンズは、阪神では外野手として想定されており、今季12発のマルテは三塁で大山らと競争となる。

外国人選手枠との戦いも待ち受けるが、矢野監督は「オプションが広がった。野手が3人で投手が1人、逆に投手が3で野手が1もありえる。幅ができたのは大きい。そのときの状況とチーム状態を考え、俺が判断することになる」。阪神の外国人野手の3選手同時スタメンは15年が最後。シーズン開幕戦での同時スタメン出場の可能性も浮上し、実現すれば球団初のケースだ。

サンズ本人も暴れ回る準備を整えている。今季58試合に登板し40ホールドを挙げるなど勝利の方程式の中軸を担ったピアース・ジョンソン投手(28)は、ジャイアンツ時代のマイナーリーグでチームメート。ジョンソンは退団が決定的で入れ違いとなるが、日本での成功法を知る元同僚から「阪神タイガースで素晴らしい時を過ごした」などと話を聞いたことを明かした。

矢野監督も「相手にとって嫌な打順、顔ぶれが打線の中で組める状況になってきた。楽しみにしてもらえたらなと思います」と期待が大きい。今季のチーム本塁打94本はリーグ5位でチーム538得点は同ワースト。変貌を遂げる下地は整った。【松井周治】