今秋ドラフト候補の慶大・木沢尚文投手(3年=慶応)は「球速自慢」の右腕だ。昨春の早大戦で自己最速155キロを記録。常時、147、8キロを投げる。「純粋に、球速が出た方がファウルになる。真っすぐでファウルを奪い、変化球で三振が僕のスタイル。ただ、マックスより、平均を上げたいですね」。球速には、こだわりがある。

高校では最速143キロだった。10キロ以上、アップしたのは、投球フォームを見直したからだ。高3の時に右肘靱帯(じんたい)を痛めた。「まだ高校生。メスは入れたくない」と痛み止めを飲んで、最後の夏を終えた。ただ、痛みから投げ方に狂いが生じ「イップス気味になった」時期もあった。大学では、どうやって肘から先を走らせるかに取り組んだ。林前助監督のサポートを受け、キャッチボールでは「何かのヒントになれば」と下手投げも試した。1年かけて、フォームを固めた。2年春のデビュー戦で、いきなり150キロを記録した。

昨春リーグ戦後も一時、肩が不調に陥った。昨秋は1試合登板にとどまっただけに「1年間、ケガしないこと」を真っ先に掲げる。150キロ超のスピードは魅力。実力を出し、ドラフト候補に名乗り出る。【古川真弥】