立大・中川颯(はやて)投手(3年=桐光学園)は「変則自慢」の右のサブマリンだ。地面すれすれから、最速136キロの直球に、カーブ、スライダー、シンカーを投げ込む。小学校まではサイドスローだったが、ある人の影響でアンダースローに変えた。

「小6の時(10年)です。ファンだったロッテが日本一になって、渡辺俊介さんに影響を受けました。遊び半分で投げ始めて、それからです」。横浜商で甲子園出場経験もある父貴成(たかしげ)さんとも相談。「体が小さかったので、上手投げは厳しかった。父も『希少価値になる』と賛成してくれました」。今のスタイルへとつながった。

貴成さんとは、現代版「巨人の星」のような関係だった。小学校から帰宅すると、ガソリンスタンドを経営していた貴成さんとの特訓の毎日だった。構えるミットへ投げ込み、車庫に張られたネットへ打ち込んだ。ランニングも課された。「友だちと遊ぶ暇はなかったですね。そんな生活が中学3年まで。厳しくて、怖くて、野球をやめたくても、やめられませんでした」と苦笑いで振り返る。だが、こう続けた。「おかげで、ここまで野球を続けられたのかな」。

これまではリリーフが多かったが、大学ラストイヤーは先発起用が増えそうだ。スタミナアップとともに、投球幅を広げるため、チェンジアップの習得に励んでいる。「短いイニングなら力で何とかなっても、先発なら緩急が必要」と狙いを口にした。昨季のソフトバンク高橋礼に代表されるように、アンダースローは再び注目を集めている。流れに乗る。【古川真弥】