<練習試合:日本ハム0-5阪神>◇11日◇沖縄・名護

野村氏を目標に-。阪神梅野隆太郎捕手(28)が、自身初実戦となる日本ハムとの練習試合(沖縄・名護)で2打数2安打1打点と好スタートを切った。

「8番捕手」で先発し、2回1死一、二塁で迎えた今季の第1打席。日本ハム先発の右腕杉浦の内角144キロ直球を中前にはじき返し、先制の適時打。「ああいう場面(得点圏)だったので集中してたし、結果として出たのはホッとしています」。昨季の得点圏打率はチームトップ、リーグ4位の3割3分。勝負強さは健在だった。

体の反応や配球の駆け引きなど、実戦勘も確認し「いい打席だった」。試合の流れの中でセットポジションの相手から放った初安打。「そこから結果を出せた。タイミングの取り方も自分で工夫しながらやっている。その中の1本だったので良かった」。打撃面で順調な調整ぶりを漂わせ、マスクをかぶっても先発飯田を無失点にリードした。

急逝した野村氏とは阪神でチームメートだった西岡を通じてプライベートで話す機会を設けてもらった。捕手論より熱く語ってくれた人生論が胸に残っているという。

「野球人としても一番は人間として、キャッチャーとしてどうしていくかと。人としてのことを数多く言われていた。僕はキャッチャーで配球うんぬんも聞こうと思ったんですけど、やっぱり一番は人としての在り方というのを教わった。話された中ではそこが一番、思い出深いです」

シーズン中の甲子園などでも会う度に、野村氏から「気にして見てるよ」と声を掛けられた。「すごい残念ですけど同じキャッチャーとして、目標として。今後、いい成績を出して頑張っていけるようにやっていきたい」。伝えられた野村イズムを大切に、大きな背中を追いかけていく。【奥田隼人】