プロ野球開幕延期の影響は、福岡ソフトバンクホークスの「お膝元」も直撃している。新型コロナウイルス感染拡大防止の一環として、チームの活動休止を始めた3月31日、ペイペイドームに近く、試合開催時にはにぎわいを見せる福岡市早良区の西新商店街も閑散としていた。

1日平均1万5000人が行き交うが、現在は3分の2ほどに減少。試合前後に多くが訪れる飲食店への影響は大きく、同商店街連合会の鳥巣(とりす)勲会長(68)は「特に宴会ができる店は、ほとんど予約がキャンセルされ、売り上げは(通常の)半分以下が多い」と明かした。50年間、果実店を営むホークスファンの男性店主も「気分が沈んでいる。コロナばっかりで、テレビをつけても野球がないのは寂しい。選手も大変ですね」とナインを気遣った。

3月1日に勝鷹(かつたか)水神でソフトバンク関係者や自治体関係者ら約50人で行われる予定だった必勝祈願祭も延期され、15日に商店街関係者6人だけで行われた。例年シーズンオフの12月下旬には選手を招いて人力車によるパレードも行ってきた。鳥巣会長は「ホークスが勝つ時は相当な力をもらえたが、今はその力がもらえない。人の活力が違う。去年の商店街は輝いていたけど、今はスモッグがかかっている感じ」と嘆いた。

ドームに隣接する商業施設「MARK IS 福岡ももち」の広報担当者も「入館者は減っています。営業上、試合が早く始まってほしい」と訴えた。試合当日に1日約140便の臨時シャトルバスを運行する西日本鉄道の広報担当者も「試合がない分、一定の影響は受けている」という。

この日、高島宗一郎・福岡市長(45)が福岡市民に関東、関西、海外への不要不急の移動自粛を要請した。活動休止のホークスナインも、今はじっと我慢の時だ。【菊川光一】