阪神のディープすぎる話題や知られていないデータを掘り起こす、スカイAの人気番組「虎ヲタ」。レギュラー出演中の日刊スポーツ高野勲記者が、今回も阪神のヲタクな記録を発掘しました。昨オフ獲得した中田賢一投手(38)ロベルト・スアレス投手(29)はソフトバンク時代、2人そろって登板すれば驚異の勝率8割! 阪神でも名コンビを継続し、勝利をもたらしてくれるでしょうか。

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昨年の日本一ソフトバンクから、阪神は中田、スアレスと2人の実力派投手を迎えた。中田は13年オフ中日からFAした際にも交渉したが、入団には至らず。今回は無償トレードで縦じまに袖を通した。FA宣言した選手に入団を断られ、後年に獲得するのは、福留以来チーム2人目だ。一方のスアレスは、最速161キロの速球が武器。自由契約となってはいたものの、17年に受けた右肘手術からの復活気配が漂う。

この2人は16年から4年間、チームメートだった。同じ試合でそろって登板した11試合で、ソフトバンクは実に8勝2敗1分け、勝率8割と圧倒的な好成績を収めた(CS、日本シリーズ同一試合での登板はなし)。

初のそろい踏みとなった16年5月26日オリックス戦では、中田が先発し4回途中KO、スアレスも打者4人に2安打されたが、なんとかしのいだ。これで波に乗ったようだ。この11試合で中田は5勝0敗、防御率2・58。スアレスは0勝0敗1セーブ5ホールドの防御率2・31で、ともに無敗。コンビネーションのよさが光った。

阪神が同一年オフにホークスから複数の投手を獲得したのは、1990年(平2)以来。このとき断行した大型トレードは、球団にとって苦い思い出である。中村勝広新監督のもと最下位に沈んだチームは、大幅な刷新に打って出た。前身のダイエーから藤本修二、西川佳明の元主戦級投手らを獲得し、代わりに85年日本一の功労者池田親興らを放出。ところが藤本、西川は阪神ではともに0勝のまま退団。一方の池田はリリーフとして大活躍と、阪神投手陣には大損の格好となってしまった。令和初、そして現状では唯一の国内球団からの補強。スアレスについては矢野監督が先発としても期待しているが、名コンビ復活で29年前の悔しさを晴らす可能性も十分だ。【記録室・高野勲】

◆90年オフのダイエーとの大型トレード 阪神からダイエーへは、池田のほか、大野久外野手、渡真利克則内野手、岩切英司捕手を譲渡。代わりに西川、藤本に加え、近田豊年投手、吉田博之捕手、右田雅彦外野手を獲得した。阪神に加わった西川、藤本は未勝利のまま退団。吉田は木戸、山田らライバルに敗れ戦力外に。右田は93年3試合に出たのみ。近田に至っては1軍戦登板なしに終わった。一方、ダイエーに移籍した池田は、リリーフに活路を見いだし91年から2年連続で2桁セーブを挙げた。大野はパ・リーグ盗塁王に輝いた。なお阪神を退団した藤本は93年西武で中継ぎとして27試合登板と復活している。虎にとっては踏んだり蹴ったりのトレード失敗となった。

<阪神で活躍した主なホークスOB投手>

◆江本孟紀(76~81年途中)江夏豊らとの超大型トレードで阪神入り。77年から3年連続開幕投手と、虎投を支えた。81年「ベンチがアホやから」の名言? を残し引退。

◆山内新一(84~85年)南海では野村監督の指導で大ブレークし、開幕投手6度、20勝2度の大エースに育った。阪神では84年7勝と、往年の技を披露。85年日本一を見届け引退した。

◆下柳剛(03~11年)90年ドラフト4位でダイエー入り。日本ハムを経て阪神へ。03年10勝でVに貢献。05年15勝で最多勝。在籍中80勝は、国内球団からの移籍投手最多(他球団に移籍し復帰した投手除く)。

◆スタンリッジ(10年途中~13年)メッセンジャーと並び先発ローテーションをけん引。13年防御率2・74はセ3位。呉昇桓の入団に伴い古巣ソフトバンクへ戻った。

 

◆虎ヲタ~知ればアナタも人気者~ 阪神タイガースをデータから読み解く、新感覚の野球情報番組。ファン目線のトリビアなものや、日刊スポーツの記者が持ち込みで紹介するここだけの硬派なネタで、阪神を徹底分析する。増田英彦(ますだおかだ)関本賢太郎(阪神タイガースOB)高野勲(日刊スポーツ記者)がレギュラー出演する。6月号は「助っ人外国人特集」。放送予定はスカイAのホームページを見てください。