虎の一平ちゃん、大抜てきあるぞ! 阪神ドラフト6位の小川一平投手(22)が5月31日、甲子園での紅白戦に登板し、自己最速を更新する152キロをマーク。1回無安打無失点と好投した。矢野燿大監督(51)も試合後の取材で「勝ちパターンに入ってきてもおかしくないような投球」と大絶賛。開幕1軍どころか、セットアッパー起用の可能性も出てきた。

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無観客の静かな甲子園で小川の剛速球がうなった。白組の4番手で登板した6回。近本の打席だった。見逃しストライクの初球は、いきなり自己最速を1キロ更新する150キロをマーク。続けてストライクゾーンに投げ込んだ直球が、今度は152キロを計測し、2球で追い込んだ。「大学生の時からずっと目指してきた数字なので素直にうれしいです」。初の大台到達を喜び、近本を遊ゴロに打ち取った。

球威と安定感の光る投球だった。続く大山の3球目にも152キロを計測した。一塁手ボーアが打球に反応できず一失となったが、マルテから見逃し三振を奪い、最後は原口を1球で三ゴロに仕留めた。

1回無安打無失点の投球に指揮官もうなった。試合後の代表取材で、印象に残った選手を聞かれ「ルーキーの小川の投球は前回も素晴らしかったですけど、この前よりもさらにいいボールがいっていたように見えました」と大絶賛。さらに「本当に勝ちパターンに入ってきてもおかしくないような投球をしてくれている。小川が一番、目立っていましたね」。勝利の方程式入りの可能性まで言及した。

小川は3月11日のヤクルトとのオープン戦(神宮)で1軍デビュー。4試合に登板し、合計5回4安打1失点と結果を残してきた。集合練習再開後も好調を維持。26日のシート打撃でも木浪、坂本、高山相手に3者連続空振り三振を奪っていた。「前回のシートバッティングと同様にストライク先行でテンポ良く投げることができました。調子はすごくいいので、もっと上を目指して頑張ります」と手応えは十分だ。

阪神で大卒新人投手の開幕1軍となれば、00年吉野誠氏(現球団アマスカウト)以来20年ぶり。小川はさらなるスピードアップを目指す。「スピードがすべてではないですが、160キロを目指してやっていけば、おのずとスピードも上がっていくと思う。そこも一つの目標として頑張りたい」。開幕1軍に大きく前進。虎の一平ちゃんが、最強ブルペン陣の一角に名を連ねる。【磯綾乃】

◆小川一平(おがわ・いっぺい)1997年(平9)6月3日生まれ、神奈川県出身。逗子小2年で野球を始め、逗子中では軟式野球部に所属。横須賀工では3年夏の県大会2回戦で敗退し、甲子園出場経験なし。東海大九州では、大学1年時に熊本地震に被災。2年時に大学選手権出場。19年ドラフト6位で阪神入り。182センチ、80キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸700万円。