開幕マスクの座へ、また1歩前進した。巨人大城卓三捕手(27)が、ダブルヘッダーで行われた紅白戦2試合目に豪快な1発を放った。

紅組の4番捕手でスタメン出場。開幕ローテの柱、新外国人サンチェスの147キロを捉えた。プロ野球開幕が6月19日に決定後、初となる実戦。原監督が見つめる前で、大きな存在感を示した。

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右翼手のパーラは、1歩も動けなかった。11、13年にナ・リーグでゴールドグラブ賞を獲得した世界的な守備の名手が、行方を見ることはなかった。4回1死。大城の放った打球は、打った瞬間に分かるそれ。「ドン」。無人のスタンドの中腹で、大きな衝撃音を奏でた。試合後のオンライン取材に登場すると「自分の中でも感覚良かったので、ファーストストライク捉えられたことが良かったかな」とうなずいた。

誰もが目を見張った1発。昨季韓国で17勝のサンチェスの内角高め147キロを完璧にしばいたから。坂本、岡本ら精鋭の中で唯一の本塁打。3月のDeNAとの練習試合では2戦連発をマークするなど、成長は止まらない。原監督も「大城もやっぱり今年の中で伸びた選手ですね。体も大きくなったしね。飛距離がね、コンタクト率というのは非常に高い選手ではあるんですけれどもいまいち長打力がね、そこが非常に良くなっておもしろい、可能性はすごく大きく見えますね、楽しみな選手ですよ」と太鼓判を押した。

正捕手争いを演じる小林、炭谷が無安打の前で、持ち味の打撃力を発揮した。リード面でも主力メンバーの白組を無失点に封じた。開幕は目前。2日から対外試合(西武との練習試合)も再開する。「アピールすることが大事だと思いますので、打撃でも守備でも、結果を残したいと思います」。「おうち時間」では、自炊に挑戦し始めた3年目の大型捕手。“仕込み”を怠らず、初の開幕スタメンマスクの座を味わってみせる。【栗田尚樹】

◆大城卓三(おおしろ・たくみ) 1993年(平5)2月11日、沖縄県生まれ。東海大相模では3年夏に甲子園準優勝。東海大では4年時の全日本大学野球選手権で首位打者とMVPを獲得し優勝に貢献。NTT西日本を経て、17年ドラフト3位で巨人入り。今季推定年俸3500万円。187センチ、90キロ。右投げ左打ち