開幕戦で矢野阪神が勝利の方程式での逃げ切りに失敗した。1点リードの7回。ベンチが送り出したのは岩崎だ。先頭の代打石川に右前打を許し、送りバントで1死二塁。1番吉川尚への4球目だった。内角低め直球を捉えられ、逆転2ランを被弾。昨年48戦登板で防御率1・01、無敗を誇ったセットアッパー左腕がいきなり負け投手となった。

矢野監督 うちの形としてそういう形でいこうと。それだけで決めているわけじゃないけど、総合的に決めた中での判断。もちろん日程的に(厳しいことも考慮して)っていうのはゼロではないけど。西の飛ばしてる、いろいろ疲れてるっていうなかで俺が下した決断。もちろん俺の責任。

西勇は6回97球。勝敗の分岐点となった継投を、指揮官はそう振り返った。

岩崎は今季、何とか開幕に間に合っていた。5月31日の紅白戦で投げたが、6月はコンディション不良で、なかなか実戦登板できなかった。1軍練習試合は13日の1試合登板のみ。3日後の16日2軍練習試合でも投げ、滑り込んだ。この日は29歳の誕生日だったが、つらい結果となった。

矢野監督 ファームは見に行っていたし、そのボールを見ても今までの優とそんなに変わりない、俺の中ではそう見えていた。

前日18日に矢野監督は先発西勇から、救援陣も奮闘し、最後は藤川で締めるプランを描いていた。昨季6回終了時にリードしていた試合は、45勝4敗4分け、勝率9割1分8厘。今季も開幕から得意の方程式で逃げ切りを図ったが、実らなかった。宿敵巨人に節目の6000勝を献上したが、戦いは始まったばかりだ。

矢野監督 みんなしっかりやってくれた。俺の責任。勝負分けたと言うだけで。みんなやり切ってくれた。開幕としては悔しい結果になったけど、自分たちの野球をするのは、みんな気持ちと姿勢を見せてくれた。だからこそ悔しい。

黒星で始まったが、日本一のゴールは変わらない。試合前のセレモニーで宣言した言葉のまま戦い抜く。

「今季を戦う上でうまくいかないこと、苦しいこと、困難な状況があると思いますが、そういう時こそ、前を向き、チャレンジし、困難に挑戦していく姿をみなさんにお見せしていきます」-。【松井周治】