降り続く雨も、相性の悪さもDeNAの「宇宙人」には関係なかった。先発陣で最年長34歳の井納が、広島打線を6回1失点に抑えて今季2勝目。

「序盤から(伊藤)光のサインに対して1球1球、意図を持って集中して投げることができました。初回から得点を挙げてくれた野手の方々、光のリードに感謝したいです」と謙虚に喜んだ。

広島森下の投球時に、たたきつけるように降った雨も、井納がマウンドに上がると不思議と弱まった。それでもいつ試合が中断されてもおかしくない状況。「正直、集中するのも大変でしたが、1球に集中して、気持ちを強く持って投げていった」。ストライク先行でテンポよく低めを突き、勝ちパターン継投をお膳立てした。

献身的な姿勢を天が見ていたのかもしれない。今季は開幕ローテーション入りを果たし、初登板の6月24日中日2回戦(横浜)は5回2失点で勝ち投手となったが、戦略上、翌日に登録抹消となった。それでも「木塚コーチと話して、悪い意味ではないと言われていた。2軍と1軍で環境は違っても、やることは同じ。特に落ち込むことはなかったです」。腐らずに自分を信じ、来るべき登板へ地道に調整を続けてきた。

昨季広島戦は5試合で1勝3敗、防御率6・46。特に4番鈴木誠は10打数5安打で3四球、1本塁打と苦手としていたが、この日は1四球こそ与えたが無安打に抑えた。データを重視するラミレス監督は試合前「今は先発投手がおらず、他に選択肢がなかった。5回を3失点くらいで」と話していたが、試合後には「期待以上のピッチング。スタミナも十分だったね」とベテランをたたえた。今後についても「抹消しないで、次回も考えて使いたいと思います」とローテ継続にお墨付きを与えた。

投打のかみ合ったチームは今季10勝目。謙虚な宇宙人の超常の力か、ナインと試合終了を喜び合う瞬間には、雨もすっかり上がっていた。【鈴木正章】