巨人亀井善行外野手(37)が通算1000安打を達成した。

節目の1000安打はケガに苦しみ、もがき、はい上がった巨人亀井の生きざまを物語るようだった。舞台は2点を追う9回2死一、三塁。阪神藤川の速球を右前にはじき返し、球団最年長、球界3位の年長記録となる37歳11カ月で達成した。敗戦に悔しさをにじませながら「あきらめかけた時もありましたけど、我慢強く頑張ってこれた。使い続けてくれた監督に感謝したいです」と背中を丸めた。

挫折の連続の中、周囲の支えが原動力だった。3年目の秋。キャンプメンバーから漏れ、悔し涙を流した。どん底の時、そばには両親、家族、チームメート。不調、故障での2軍降格の度にファンから声援を掛けられ「頑張ろうと思えた」。感謝の思いは道具にも表れ、グラブ、バット、スパイクはきれいに磨いた上で臨む。「何回も助けてもらってるし、また助けてくださいと思いを込めて」。

1打席ごとにバットをタオルで磨くのは、16年間で培った亀井の流儀が詰まっている。「相手のキャッチャーに打った場所を見られたくないから。前の打席で詰まったとか、芯だったとか悟られないようにね」。無観客の中、一塁上で記念のボードを掲げた。周囲にペコリペコリと頭を下げ、感謝の思いを全身で示した。【久保賢吾】

▽巨人原監督(亀井の1000安打に)「見事にね。1000本目を飾るにふさわしい、非常に素晴らしい打撃ですね」

▼通算1000安打=亀井(巨人) 9日の阪神4回戦(甲子園)の9回、藤川から右前打を放って達成。プロ野球305人目。初安打は05年7月9日の広島11回戦(広島)でロマノから。37歳11カ月での達成は18年石原(広島)の38歳8カ月、10年北川(オリックス)の38歳3カ月に次ぐ年長3位となり、捕手で入団した選手を除けば最年長。