阪神西勇輝投手(29)がファンのエールを背に6回1/3、6安打無失点と奮闘した。「(岩崎)優がピンチで踏ん張ってくれて本当に感謝です」。7回1死二塁、大和に四球を与えた場面で、西勇は降板を告げられた。マウンドで何度も悔しそうな表情を浮かべ、ベンチへ歩いて行く西勇に、ひときわ大きく温かい拍手が送られた。今季初勝利を挙げた5日広島戦から、中5日での登板で粘りの投球を見せた。

6月26日DeNA戦に続き、2度目の今永との開幕投手対決。「相手投手が今永だったので何としても先制点は与えないという意識を持って投げました」。前回は7回1失点で敗戦。この日は今永よりも先にマウンドを降りなかった。ボーアの2ランで先制した直後の3回には、1番梶谷から3連続空振り三振。味方の援護に好投で応えると、いつもより笑みがはじけた。走者を背負いながらも失点は許さず、リリーフ陣につないだ。

登板前日の10日、西勇はファンのために、と意気込んでいた。「ファンの方々が無事に球場に見に来られるようになったのはうれしいことですし、どんな人数でも観に来てくれるファンの方々のために、チームのためにもいいパフォーマンスを出したいと思います」。そんなエースをファンも助けた。この日、西勇がピンチを迎えるたびに、虎党はより大きな拍手で後押しした。5回2死一、三塁、3番ソトをチェンジアップで追い込むと、どこからともなく手拍子が起こった。ファンのエールを背に投げ込んだスライダーは、外角高めに決まり空振り三振。西勇と捕手梅野の激しいガッツポーズに、また大きな拍手が沸き起こった。今季2勝目とはならなかったが、ファンとともにエースの投球を見せた。【磯綾乃】