ソフトバンク千賀滉大投手(27)が、メジャー強打者に“リベンジ”し、今季初の4連勝&開幕戦以来の貯金1をもたらせた。米国代表だったオリックス・ジョーンズとは、17年の第4回WBC準決勝で対戦。決勝点を与えて日本が終戦して以来の再戦は安打後、2打席凡退に斬った。力任せではなく変化球を駆使した頭脳ピッチ。京セラドーム大阪で負けなしの5勝目をマークした。エースの活躍で打線も奮起し、今季最多の17安打10得点で快勝だ。

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「日本のエース」として負けるわけにはいかなかった。千賀が、マウンドで胸を張った。6回先頭打者で迎えたメジャー282発男、ジョーンズから自慢の「お化けフォーク」で空振りの三振に切って取った。

千賀 楽しい時間が過ごせたと思います。

変化球のボール球から入り、変化球を2球続けて空振りを取ると、4球目は155キロの剛速球。ファウルとなったが次の135キロフォークは、強打者でもバットに当てられなかった。

因縁の対決だった。17年WBC準決勝で米国代表だったジョーンズと対戦。三ゴロに打ち取ったが松田宣がファンブルし、決勝点を献上して負け投手となった。それ以来の対戦。第1打席ではスライダーを強烈な左前打にされたが、その後は「あの時」同様の三ゴロと三振に斬った。ヒーローインタビューでは「三塁ゴロには笑ってしまいました」とニコリ。「これからも対戦あるでしょうし、その空間を味わいたい」。メジャー志向が強い男は対戦も楽しんだ。

今季2戦目で初めて観客が入ってのマウンド。ビジターとはいえ、三塁側からは拍手もわき起こった。「ファンの拍手などが聞こえたのはうれしかった。野球選手冥利(みょうり)に尽きると思いました」とファンの声援も味方につけた。

最速は157キロ。最初から飛ばして自己最速161キロをマークした今季初先発の前回7日の楽天戦とは違い、変化球を駆使した。6回、ジョーンズからの三振を含め3者連続三振を奪ったが、すべて変化球で決めた。「調子が悪いながら、何とか試合を壊さないようにと」。初回こそ2安打2失点も2回から6回まで2安打無失点。自身「開幕」から2連勝で京セラドーム大阪では負けなしの5連勝となった。「野手の方には感謝してます」と17安打10得点の打線に頭を下げた。

チームも初の4連勝で開幕戦以来の貯金1。工藤監督も「千賀くんは6回の投球で何かつかんでくれたようで、次につなげてもらいたい。チームも油断することなく頑張りたい」と引き締めた。7日に千賀が復帰して以降、7戦5勝2敗。エースの存在は、やっぱり大きい。【浦田由紀夫】

◆17年WBC準決勝米国戦の千賀VTR 千賀は先発菅野の後を受けた2番手で登板した。1-1と追い付いた7回からマウンドに上がり3人で抑えたが、8回に1死二、三塁から2番A・ジョーンズの三ゴロを松田がファンブルしてしまい、この間に決勝点を献上。2イニングを投げて4連続を含む5三振を奪ったが、負け投手となった。