プロ注目の青森大・遠藤暉世己(きせき)投手(4年=稚内大谷)がラストチャンスにかける。最速147キロの長身右腕は、北東北大学野球秋季リーグ戦(8月22日開幕)での活躍で、プロへの道を切り開く意気込みだ。現役最北となる稚内市出身のプロ野球選手へ、最後のアピールに腕をぶす。

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遠藤が大学最後のリーグ戦に燃えている。現在は練習試合などの登板で、調整している。今年の春季リーグ戦は新型コロナウイルスの影響で中止された。残された機会を逃したくない。「プロに行くのが夢。リーグ戦で結果を出して、そこで自分の最後の力を振り絞ってつかみ取りたい」と力を込める。

187センチの長身から最速147キロを投げ込む本格派右腕。稚内大谷時代は1年秋に背番号1をつけ、期待されたが、投げ込み過ぎによる右肩痛で一時断念。野手メインだった。2年夏の北北海道大会8強が最高で甲子園経験はないが、青森大入学後、頭角を現した。本格的な体づくりや投げ方を工夫して投手に復帰し、恵まれた体格と角度のある直球を武器に、プロスカウトの目にとまる存在になった。

稚内市出身で、小さい時からプロ野球選手の存在を感じる環境だった。「大村巌さん(現DeNA2軍打撃コーチ)が住んでいた家が道路挟んですぐ近くで、鬼ごっこの時に大村さんの家の外階段に隠れさせてもらったりしていた」と懐かしむ。本人との面識はないが、元プロ選手の実家が身近にあることは、野球少年だった遠藤にとって、将来の夢への後押しとなった。

大村氏に続けられれば、現役で最北の地出身のプロ野球選手となる。同市内で両親が経営している旅館は「父に継がなくていいと言われている」ため、教職免許取得を考えながら、強いプロ志望がある。「どうしてもプロに行きたい。自分の人生なので最後までやり遂げていきたい」。やるべきことは、勝負の秋に集中するだけだ。【保坂果那】

◆遠藤暉世己(えんどう・きせき)1998年(平10)9月6日、稚内市生まれ。稚内中央小4年から野球を始める。稚内中-稚内大谷。青森大では2年秋にリーグ戦デビューし、3年秋は6試合登板(うち先発2試合)でリーグ制覇に貢献。リーグ通算18試合3勝1敗。全国大会出場なし。家族は両親と姉2人。187センチ、87キロ。右投げ右打ち。

◆現役プロ野球選手の出身地 各市町のホームページに掲載されている北緯で比較すると、日本ハム玉井大翔投手(28)の佐呂間町が北緯44度で現役最北。ヤクルト五十嵐亮太投手(41)の留萌市やソフトバンク明石健志内野手(34)らの旭川市は同43度に位置する。遠藤の出身地稚内市は同45度で、プロ入りなら最北を更新する。