頼れる主砲が長男のバースデーにヒーローになった。日本ハム中田翔内野手(31)が9日、西武9回戦(札幌ドーム)の同点の3回に左翼線へ決勝適時打を放った。

語呂合わせで野球の日のこの日は、第3子となる男の子の1歳の誕生日。今季8度目の勝利打点で4番として仕事をきっちりと果たし、父としてしっかり記念日を祝った。チームは今季初の4連勝で、貯金を最多の2とした。

   ◇   ◇   ◇

主砲の野球人生の中に特別な1日が加わった。中田が長男の1歳の誕生日を自らのバットで祝った。ヒーローインタビューでは今季最多4964人の観衆を前に「今日はこんちゃん(近藤)の誕生日でしたし、僕の息子も誕生日なのでヒーローになれてよかった。ファンのみなさんの声援のおかげで1本出たと思う」と感謝の言葉を口にした。

1-1の同点で迎えた3回1死二塁。1ストライクから西武本田の変化球に反応した。「早い段階で追加点を取りたいと思っていたので、気持ちで打った。自分のスイングをしようと心掛けて、いいところに落ちてくれてよかった」。打球は左翼線への適時打となり、塁上で何度も手をたたき右手でガッツポーズをつくった。

昨年8月9日の「野球の日」に、第3子となる男の子が誕生した。お立ち台でファンに直接報告しようと考えていたが、長男誕生の直後に右手の負傷で登録抹消。再登録後もヒーローになることはなくシーズンを終えていた。今年は新型コロナウイルスの影響で開幕は遅れたが「いろんな成長を家で見ることもできましたし」と、息子の存在が気持ちの支えでもあった。その愛する長男の記念日での活躍に「僕個人的にもそうですし、家族にとっても特別な1日になったのじゃないかなと思います」と喜んだ。

4番として、また父としての姿をみた栗山監督は「野球の日に生まれたっていうのは、ものすごく感じるものがあるし、やっぱり人が頑張れる時って自分のことより人のためにっていうのが感じられた」と評した。主砲の活躍で今季初の4連勝で貯金は最多の2となった。「今はチームの状態もいいですし、とにかく1番は勝ち続けること。もっともっと勝ちを伸ばしていきたい」とチームの、そして家族の中心として力を込めた。【山崎純一】