巨人原辰徳監督(62)が「勝利至上継投」で、7月26日以来5週間ぶりの日曜日勝利を挙げた。プロ初勝利を目指した2年目の直江大輔投手(20)を4回2死満塁のピンチで降板させ、2番手大江を投入。5回以降はセ・リーグ1位の防御率を誇る救援陣が1点差で逃げ切った。5番丸佳浩外野手(31)は昨年8月以来の1試合4安打をマーク。今季最多の貯金14として、勝負の13連戦を前にがっちり首位をキープした。

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原監督が意を決してベンチから歩み出た。3回まで完全投球を続けた直江が3点リードの4回2死一、二塁から中前適時打を浴び、続く阿部に対してはスライダーがホームベースの手前でワンバウンドした。

四球で2死満塁。球数は66球。まだリードは2点。このピンチを脱すれば。5回まで投げ切れば…そんな邪念に左右されず、表情を変えずに交代を告げた。

「自分の思っているボールがいってなかった。いく確率が少なくなった。球数も70球弱。あそこは大江に任せた。お兄ちゃんに任せたというところですね」

プロ初勝利を目指した“末っ子”から兄たちへの継投。決断のバックボーンには、セ・リーグ1位の防御率を誇る救援陣の存在がある。昨季リーグ4位の3・68だったリリーフ陣の防御率は今季、同1位の3・36に向上。2番手大江が三振で切り抜けると、4番ビシエドから始まる1点差の6回には変則左腕の高梨を投入した。

ここまで対右打者25打数無安打。勝負イニングを無失点で切り抜け、指揮官は「1球に非常に集中力がある。うちのリリーバーのいい教本になっている」。7回からは大竹、中川、デラロサをつぎ込み、6回以降は無安打で逃げ切った。「野球は点取りゲーム。どんな展開でも1点を上回ることが大事。守り切ったのは大きい」と評した。

宮本投手チーフコーチは「みんなで作品を作ろうという一体感。いい空気がブルペンに流れている」と言う。今季から試合前に傾斜を使った投球練習を増やし、スコアラー経験のある村田ブルペンコーチが配球を指導。1カ月以上勝利のなかった鬼門のサンデーを1点差で突破し、勢いに乗って9月の13連戦に向かう。【前田祐輔】

▽巨人直江(2度目の先発は4回途中66球1失点。初勝利はお預け)「任されたイニングは投げ切らなければいけないです。打順の2巡目を意識しつつ、意識しすぎず、自分自身をコントロールする能力を身につけないと抑えられないと思いました」

▽巨人宮本投手チーフコーチ(直江について)「彼らしいピッチング。落ち着いたね。力まず、変化球も良かった。直江も戸郷と将来のジャイアンツを背負ってもらいたいなと。育成というところで直江は置いています。1歩ずつ階段を上がってくれればなと思っています」