「8番投手」は勝利への最善策!? DeNAアレックス・ラミレス監督(45)の特徴的采配と言われる「8番投手」の起用。「打線が途切れる」「投手交代を早めるだけ」など懐疑的な見方も多いが、現実はどうか。チームは9月20日現在、ペナントレースの2/3となる80試合を消化し、38勝37敗5引き分けで、首位巨人と11ゲーム差の3位。「8番投手」と「9番投手」の場合に分けて、ここまでの数値を比べてみた。

▼8番投手 30試合→16勝13敗1分け=勝率5割5分2厘 1試合平均4・3得点、同3・6失点、チーム打率2割7分

▼9番投手 50試合→22勝24敗4分け=勝率4割7分8厘 1試合平均4・3得点、同4・1失点、チーム打率2割6分8厘

意外にも「8番投手」の方が少ない30試合で勝率5割超。一方でオーソドックスな「9番投手」は50試合で、勝率は5割以下にとどまる。チーム打率と平均得点はほぼ同じだった。単純な比較はできないが、仮に80試合すべて「8番投手」で、ほぼ同様の勝率だったとすると、44勝36敗の貯金8だったと推定できる。

「データ80%、フィーリング20%」を公言し、相手や球場により、日ごとにベストな戦術を選ぶ「デイ・バイ・デイ・ベースボール」を掲げるラミレス監督は、好調の打者をあえて9番に配することで「7番が出たら、ピッチャーがバントして、9番がかえす」というプランを描く。そうなれば打率3割超の1番梶谷からの上位につながり大量点も見込める。

また投手の前を打つ選手の機動力も決定要素だ。19日巨人戦(横浜)は投手大貫を9番で起用。その意図を「(6番)戸柱(7番)倉本が塁に出て(8番投手が)バントをしても、三塁でアウトになる可能性が高い。倉本(8番)柴田ならバントシチュエーションになる」と説明した。実際は大貫がバントする場面はなく、試合にも敗れたが、投手の前後の打者の機動力や状態を見極めながら打順を使い分けている。

実際は「8番投手」が奏功したケースも多いが、セオリーとは異なる戦術だけに、裏目に出た場合に悪印象が強く残るのだろう。「数字はうそをつかない」もラミレス監督がよく口にする言葉。ここまでの結果を見れば、イメージや固定観念だけで「8番投手」を批判するのは、誤りかもしれない。【鈴木正章】