ロッテが一夜でよみがえった。本拠地ZOZOマリンで、得意とするソフトバンクとの首位攻防戦を制し、1ゲーム差に迫った。

2回に、2死後の4連打を含む6安打で一気に5得点。ライバルからFA移籍で加入した福田秀平外野手(31)の2点適時打が効いた。荻野貴司外野手(34)も故障から復帰し、理想の1、2番が実現。一気に首位を奪取する。

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初球から振ってこその、福田秀だ。直球だけじゃない。左腕ムーアのチェンジアップにも覚悟を決めた。2回、同点に追いつきなおも2死二、三塁。センター前への2点適時打に「残り36試合、とにかく1試合でもロッテの勝ちに貢献できるようにという思いです」と強く発した。

振れるだけのことをしている。試合直前、タイミングを計るイメージ動作を、素振り以上に行う。「試合の入り、打席の入りは本当に大事にしています」。2番福田秀に乗せられ、5番中村奨まで4連打で5点。2回までに走者一、三塁、または二、三塁が計6度。波状攻撃でソフトバンクを一気にのみ込んだ。

優勝するために、FAで福岡からやって来た。古巣と比べると、おとなしい選手が多い新天地。誰よりも声を出し、6月の練習試合は12球団で打率6位と好調だった。あの時までは。「練習試合最後の打席で死球で骨折して、出ばなをすごくくじかれました」。右肩甲骨を亀裂骨折していた。

注射を2本、錠剤を5錠。徹底的に痛みを消し、6月19日の開幕ソフトバンク戦(ペイペイドーム)に出場した。「どうしても福岡のファンの前でやりたかった」。やはり肩は上がらず、3三振。その後1カ月間、1軍を離れた。復帰後も調子は上がらず、今度は右恥骨筋を痛めた。

「いま考えると、本当に無理をしたなと。1試合のためにそこまでする必要はなかったと後悔しています。その時は、そういう気持ちでした」

それでも何より、大事な今、ここにいる。井口資仁監督が理想とする1番荻野、2番福田秀が今季84試合目でついに実現した。まだ復帰間もないが「今は(体の)状態とか言っている場合ではないです」と力の限りを尽くす。焦り苦しんだ経験が、まもなく来る大一番での覚悟に生きる。【金子真仁】

▽ロッテ井口監督(荻野復帰について) やっぱり(荻野)貴司が1番に入るとチームも締まる。残り試合しっかりと(福田秀と)2人で機能してもらって、クリーンアップにつないでもらえれば。