ロッテの“お散歩打線”は力強く歩く。3回、6回と連続四球で得た走者が全て生還し、西武投手陣を追い込み快勝した。チーム打率2割4分2厘は12球団11位ながら、四球数405は同1位。四球を全て安打に換算すると、実は12球団2位の打率3割3分3厘を誇る強力打線…という隠れた一面がある。苦手西武に勝ち越し、課題の決定力も上向いてきた。ソフトバンクとの優勝争いでも“マリさんぽ”が脅威になる。

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連勝への起点は、お散歩だった。3回2死。2番マーティンが5球粘り、四球をもぎ取った。3番菅野も四球。今年のロッテらしい流れで得点機を作ると、4番安田、5番井上が連続二塁打で応えた。

2日連続で決勝打を放った安田は「先輩方がつないでくれたので走者をかえすことだけを考えました」と謙虚に話した。全員でつなぐ。四球も得点手段の大きな1つだ。

ツーシームに、カットボール。動く球を投げる投手が増え、四球を選ぶのは決して簡単ではない。西武松本もそんな投手だが、5回までに5四球を選んだ。井口資仁監督(45)は「キャンプからずっと選手に言ってきていること。そこは徹底されています。選手がしっかり追い込まれてからの見極めをしてくれている」とほめ、試合後の談話にも当日の四球数がサラッと入ってくる。

大前提は「低めをしっかり見極める」。指揮官は「低めを打ってもなかなか安打になる確率は低い。そういうところを1年間徹底したい」と話してきた。低めを消し、ゾーンを上げて、甘い球を捉える。3ボールになっても「待て」のサインは出さず、各自の選球眼を信じる。

そうやって12球団最多の四球を選び、ソフトバンクと2差の2位にいる。指揮官は「安打も四球も同じだと思います」と位置づける。信念を数値化すると、強さの秘密が浮き上がる。

405四球を全て「安打」として換算すると、2割4分2厘のチーム打率は3割3分3厘に。他11球団も同様に「四球=安打」で計算すると、ロッテは楽天と4厘差で12球団2位のチーム打率になる。「打てない」イメージを覆す数値だ。

あとは、最後の1本だ。井口監督も「他の球団以上に得点圏は作れていると思います」と感じている。だからこそ3回、6回の連続四球からの計5得点は理想的。ボール半個分を見極めながら、逆転優勝へ強く歩む。【金子真仁】