広島7年目の中村祐太投手(25)が5回を1失点にまとめ、887日ぶりの勝利をつかんだ。今季初登板から2試合連続先頭弾を浴びたが、初めて初回を無失点に抑えてリズムに乗った。攻撃陣も3番鈴木誠が5年連続20本塁打をマークするなど、3試合連続2桁安打で6得点。ヤクルト相手に同一カード3連勝を決め、借金を10に減らした。

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中村祐が三度目の正直で“鬼門”を突破した。今季初登板初先発で初回の先頭打者から3者連続で被弾した9月20日のヤクルト戦が始まり。同27日のDeNA戦も先頭打者弾を浴びた。この日も先頭の田代に変化球を捉えられたが、三塁線への打球に堂林が飛びつき、三直に仕留めてリズムに乗った。

「先頭打者をバリバリ意識して、そこを抑えて乗っていけたかとは思いますけど、正直調子はあまりよくなかった。会沢さんのリードに乗っていけたという感じです」

弱点克服へ、調整方法を改めた。「試合に入る前の肩を作る調整を少し変えてみようと思った」。これまで実施してこなかった試合直前のブルペン投球の前に遠投を取り入れた。また、登板2日前のブルペンでは打者を立たせ、試合を想定した形で調整を行うなど、対策を練ってこの日に臨んだ。

初回先頭の壁を乗り越えた後は強かった。2回先頭の西田に一時同点弾を浴びたが、後続を3人斬り。4回は無死一、二塁のピンチから西田、エスコバー、山崎を3者連続の空振り三振に斬るなど、最後まで流れを渡さなかった。東京出身で、プロ入り前はファンで、何度も観戦に訪れた神宮でヤクルト相手に、18年5月1日巨人戦以来、887日ぶりの勝ち星となる今季初勝利をゲット。お立ち台では「すごくうれしいです」と笑みがはじけた。

中村祐の力投も光り、同一カード3連勝。借金を10まで減らした。右腕は残りのシーズンへ向け、「1試合1試合、これが最後だという気持ちで、必死に投げ続けていきたい」と引き締めた。大瀬良、ジョンソンの昨季チーム最多勝コンビを欠いた苦しい台所事情に明るい光が差した。背番号67が先発ローテーションの新たな一角を担い、チームを押し上げる。【古財稜明】

▽広島佐々岡監督(中村祐について)「踏ん張ってくれたと思う。勝ったことをこれからのプラスにしてほしい」