プロ3年目の阪神石井将希投手(25)はホロ苦い1軍デビューになった。

広島戦の8回に登板。5点ビハインドの展開での勝負だった。2死一、二塁で堂林に緩いカーブを用いて追い込んだが、最後は内角速球を左前にはじき返された。プロ初失点の適時打を許して、洗礼を浴びた格好だ。

さらに2四球が絡んで満塁のピンチを背負う。だが大盛のバットを折る三邪飛でしのぎ、初陣は1回1失点だった。矢野監督は「四球、四球で崩れたわけじゃないところは良かった。自分の球はどうだったか、1軍のレベルはどうだったか。そういうのは分かったと思う。腕振って、しっかり投げたかな」と振り返った。

17年育成ドラフト1位で入団した。貴重なサウスポーだ。昨季も支配下選手登録を検討されたが、見送られた経緯がある。今年は違う。2軍で好投を重ね、最終期限の9月30日に駆け込みで支配下選手登録。ウエスタン・リーグ今季20試合で、防御率1・86の安定感が評価された。同日には「同期で僕だけが唯一、育成で入った。もう今年が最後だと思って。失うものがない気持ちでやってきた」と明かしていた。

チームは救援左腕として期待する。必勝パターンの岩貞が新型コロナウイルスに感染し、岩崎も濃厚接触者判定で戦線離脱中。ベテランの能見が奮闘するが、救援陣は火の車だ。「打者にどんどん向かっていく姿勢と投げっぷりが僕の持ち味」と気合を込める。千載一遇のチャンスを生かし、手薄なポストを狙う。【酒井俊作】

◆石井将希(いしい・まさき)1995年(平7)7月12日生まれ、群馬県出身。桐生第一-上武大を経て17年育成ドラフト1位で阪神入り。昨季はウエスタン・リーグでチーム最多の48試合登板。今季ウエスタン20試合で防御率1・86の好成績。180センチ、88キロ。左投げ左打ち。