阪神の助っ人コンビが、復活のアベック弾を放った。

6回にジェリー・サンズ外野手(33)が1カ月ぶりとなる19号ソロを打てば、続くジャスティン・ボーア内野手(32)も16号ソロで続いた。2者連続アーチで6得点の猛攻を呼び込み、広島戦の今季勝ち越しが決定。チーム本塁打数は昨季を早くも上回る95発。単年契約を結ぶ2人にとっても、来季残留をアピールする1発となった。

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マツダの夜空に左へ右へ-。新助っ人コンビが、息を吹き返す来日初の連弾だ。3点リードの6回。先頭の5番サンズが先発野村のスライダーを左翼席に突き刺した。「やっぱりホームランは気持ちいい。特にこう調子が悪い時に打てたことは良かったよ」。9月11日広島戦(甲子園)以来、24試合ぶりの19号ソロ。7日までは29打席連続無安打と長いトンネルに入っていた。4日巨人戦で死球を受けた左手の状態も心配される中、会心の一打で不振から脱出した。

ボーアも続いた。2ボールから野村のカットボールを右翼席中段まで運んだ。「(球場の右翼側後方にある大型スーパー)コストコを見ながら打席に立つことができたよ。コストコまでいかなかったけど、いい打球だったね」。こちらは9月25日ヤクルト戦(神宮)以来、12試合ぶりの16号ソロ。サンズとは今季3度目のアベック弾、2者連続は初だ。2人はともに単年契約を結んでいるが、来季残留をアピールする一撃となった。

不振の時でも、2人は暗くなるどころか粋な計らいで雰囲気を盛り上げた。サンズは虎が描かれたバンダナを通販で複数購入し、選手に配布。「チームメートに感謝の気持ちとしてだよ。何とか恩返ししたくてね」。自身も日の丸バンダナを気に入り、この日も試合前練習で着用していた。ボーアは甲子園バックスクリーン弾で獲得した賞金100万円を使い、大量の飲み物などをチームに差し入れ。「みんなが喜んでくれて良かった。自分も幸せな気持ちになったよ」。助っ人コンビはすっかりチームのムードメーカーだ。

矢野監督は両助っ人の1発に「吹っ切れるというかね。もちろん、あそこら辺が打ってくれないとなかなかこういう試合にならない。どんどん打ってほしい」。さらなる爆発に期待を込めた。助っ人の2発を含めチーム本塁打は95本。昨季143試合で記録した94本を、シーズン94試合目にして早くも更新した。長打力アップはここ数年の課題。ボーア&サンズが本塁打量産に貢献していることは間違いない。【奥田隼人】

▽阪神井上打撃コーチ(両助っ人の1発に)「あいつらもホッとしてるよ。残り少ない中で不安がっていたけど、もう1回、明日から変われるじゃないかな。(チーム本塁打数は)オレはすごく意識していた。やっぱり『阪神って1発ないよね』と言われるのが一番しゃくだったから。最低限、去年を超えたというのは一応クリアしたのかなと思う」