中日大野雄大投手(32)が、今季5度目の完封で9勝目を飾った。阪神打線を相手に9回6安打無失点。中日では01年野口茂樹以来19年ぶりとなる年間5完封で、チームを2位に引き上げた。防御率も1・92とし、巨人菅野を抜いて1位に浮上。128奪三振もダントツトップで2年連続のタイトル獲得に加え、チームの7年連続Bクラス脱却へ、エースが快投を続ける。

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エースが、スコアボードにゼロを刻み続けた。9回2死から大山、ボーアに連打を浴び、2死一、三塁。それでも梅野を低めのフォークで投ゴロに。ビシエドへの送球を終え、両腕を控えめに掲げた。

9回の危機に、阿波野投手コーチ、内野陣がマウンドを囲んだ。「(何を言われたか)覚えていない。必死でした。何とかライデル(マルティネス)まで休ませたかった。1人で投げたいと思った」。福、祖父江の救援陣が3連投、守護神R・マルティネスが連投して、前日までの3連勝を支えた。112球の完封で、救援陣に休養日を作った。

5度目の完封勝利は、中日では01年野口茂樹以来19年ぶり。連続無失点イニングも36に伸ばし、球団2位に躍り出た。「数字は鉄壁の内外野陣、(捕手の)木下拓のリードのおかげ。1イニングずつ伸ばしていきたい」と意欲を見せた。

ハーラーダービーは、巨人菅野が13勝で独走するが、防御率は1・92で菅野を抜きリーグトップに躍り出た。奪三振は128でリーグ1位。初の最多奪三振と2年連続最優秀防御率のタイトルも視野に入れる。「意識してへんと言えばウソになる。(タイトルに)一喜一憂すると落とし穴もある」と気を引き締める。

9回にこの日の最速148キロを計測。遠征に帯同しないときは、ナゴヤ球場で2軍選手らと居残り練習。真夏の炎天下でも、若手らと同じメニューを続けた。リーグトップの126回2/3の投球回を支えるスタミナの源だ。

与田監督は「何も言うことはない。素晴らしいピッチングだった」と絶賛。シーズン残り21試合。チームを2位に引き上げたミスター完封が、7年連続Bクラス脱却への悲願をかなえる。【伊東大介】

▽中日OBで日刊スポーツ評論家の権藤博氏(大野雄の36連続イニング無失点に)「打者の力が強い時代に、ここまで記録を続けたのはすごいと思うよ。荒れ球が持ち味だったが、四球も減り、投球が完成されつつある」

▼中日大野雄大投手が今季5度目の完封勝利で、9月15日広島戦の2回から36イニング連続無失点。無失点イニングを36回以上続けたのは、13年田中(楽天=42回)以来で、左腕では69年江夏(阪神=41回)以来51年ぶり。また、中日では56年大矢根(40回1/3)以来となり、55年杉下の31回2/3、61年権藤の33回といった記録を抜いた。

▼シーズン5完封は18年菅野(巨人=8完封)以来で、中日では01年野口以来19年ぶり。ナゴヤドームでの完封は今季4度目で、同球場でシーズン4完封は前記野口に次いで2人目の最多タイ。