オリックスが中嶋聡監督代行(51)に、来季は1軍監督を正式要請する方向で調整していることが15日、分かった。近日中にフロント会議を行い、正式要請する見通し。24年連続で優勝を逃したオリックスは「育成&勝利」を掲げて中長期政権のビジョンを描き、中嶋監督代行の手腕に託す。

昨季から2軍監督を務めていた中嶋監督代行は、西村前監督の事実上の解任を受けて8月21日西武戦(京セラドーム大阪)から指揮を執った。タクトを振って47試合、21勝24敗の借金「3」。ただ、僅差での敗戦が目立つなど、手応えのあるゲームが増えた。また、監督代行自ら声を出したり、得点時には拳を突き上げて喜ぶなど、ベンチの雰囲気は一変。日本ハム在籍時の16年に米国派遣された経験もあり「野球は楽しいもの」と前向きさをチームに植え付ける。

「対話重視」の新指揮官となる。試合前には捕手陣のキャッチング練習や送球指導を身ぶり手ぶりで行う。NPB最長の実働年数29年の経験を生かし、伏見、若月らを手塩にかける。

球団幹部は「若手をうまく使いながら、本当によくやってくれている」と評価。「育成&勝利」を遂行し、結果を出すのは至難の業だが「そこに挑戦していくのが、我々の仕事」と監督代行初日に宣言した。

この日はソフトバンクに敗れ、24年連続でV逸が決定。対戦成績は5勝17敗2分けと苦戦するが「これでシーズンが終わったわけじゃない。変な話、来年のシーズンが始まっているぐらいのつもり」と話した。23日にはスカウト会議に出席し、編成部門と現場の意見をすり合わせる。新生中嶋オリックスが高みを目指す。

 

◆中嶋聡(なかじま・さとし)1969年(昭44)3月27日、秋田県生まれ。鷹巣農林から86年ドラフト3位で阪急入団。97年オフにFAで西武移籍。03年横浜、04年に日本ハムへ移籍。15年に現役引退。ベストナイン、ゴールデングラブ賞各1度。16年から日本ハムのGM特別補佐としてパドレスに派遣され、18年は1軍コーチに復帰。19年からオリックスの2軍監督。20年8月21日から1軍監督代行。182センチ、84キロ。右投げ右打ち