プロ野球DeNAが、本拠地横浜スタジアムで開催する30日からの阪神3連戦で「withコロナにおける大規模イベントガイドライン策定に向けた技術実証」をスタートさせた。これまで最大収容人数3万2402人の50%に設定していた入場人員を、この日は80%を目安に実施。約51%の1万6594人を集客した。3連戦で段階的に観客数を増やしていく。試合は西村経済再生担当相や黒岩神奈川県知事も視察。得られたデータや知見を今後に役立てていく。

  ◇   ◇   ◇

来年のプロ野球、東京五輪にもつながる大きな1歩を踏み出した。DeNAが神奈川県らと連携し、注目の技術検証をスタートさせた。シーズン最終盤での取り組みに木村球団副社長の言葉にも「この取り組みが1つのきっかけとなって今後、少しずつ、人間らしい生活を営んでいくためのきっかけづくりになればと。お客さん含めてみなさんで協力しながら、コロナに打ち勝てる、人間の生活というのを作って行ければなと」と力がこもった。

感染対策を講じた上で、多くの機器を配備してデータ集積を行う。入場ゲートやコンコースに高精細カメラを複数設置。厚生労働省が推奨する接触確認アプリ「ココア」がインストールされたスマートフォンからの信号を受信し、インストール率を把握する。人の流れ「人流」を捉え、マスク着用率なども測定。場内のトイレ、フードエリアなど特に人が滞留するエリアにも機器を設置。混雑度を検知し、解析する。他にもCO2測定機で二酸化炭素濃度を計測し、場内の換気状態を把握。あらゆるデータを集めていくことで、これまで感覚として「密」を感じていた部分が視覚化され、数値として判別できることで「密」を避ける対策が可能。この積み上げが今回の実証の根本となる。

球団は、観客増を促すため、3連戦のチケットの価格を最大35%引きで販売。31日には上限の90%。11月1日は100%の集客を図る。29日までの売り上げから、日曜日の最終戦は80%以上の集客を見込む。木村副社長も「絶対数の観点でも検証すべきポイントは確認できるかなと。規制退場・入場などの混雑も見えると思いますので、今日、明日、明後日と3段階で見ていけるのではないかと思います」と話した。

コロナの終息が見えない中での制限緩和。批判の声が上がるのも覚悟の上で、少なからず費用がかかるのも事実。それでもスポーツの未来のため、「withコロナ」の中、歩みを止めずに進んでいく。【鈴木正章】