巨人に育成ドラフト9位で指名された筑波大・奈良木陸投手(22)は「ドラフトを調べ尽くした男」だ。2日、茨城・つくば市内の同大学で内田スカウトから指名あいさつを受けた。

野球と勉強の両立を目指し、国立の同大に一般受験で入学した秀才だ。理工学群の社会工学類に所属しており、卒論のテーマは「ドラフト会議におけるマッチング」。戦力均衡という目的に対してどういう制度が良いのか、MLBの制度などとも比較しながら、パイソンというプログラミング言語を使用してシミュレーション、分析の最中だという。

最新機器や技術の発達により、数字やデータの活用が進む昨今。その扱いには自信を持つ。「データをただ見てよかった、悪かったというよりかは、こういう数字がこうだから課題がこうだとか、こういう数字だから自分の強みはここだとか、技術として力を付けられる」。最速151キロの速球を持つが、強みは球速だけでなく「回転数の多さ」だ。内田スカウトも「通常なら2400回転くらいだけど、彼は2700回転を少し上回る。すごく将来性を感じました」と評価した。この強みも大学に設置された最新機器を活用し、磨いた。「回転数とか回転軸を計れるようになり、他の投手とは違う強みを認識できた」という。

昨年までのリーグ戦登板は5試合のみと経験には乏しい。指名も育成9位と決して高い順位ではない。「今の評価を忘れずにやらないとと思う。まずは支配下契約を目標に。その上で1軍で長く活躍できるような選手になりたい」。理系の右腕がプロの舞台で活躍を誓った。【小早川宗一郎】