京都工芸繊維大の145キロ右腕・河野(こうの)翔太投手(4年=四条畷=しじょうなわて)が、四国IL愛媛へ進み、来年以降のNPB入りを目指す。9日、愛媛が球団の入団テスト合格者を「特別合格者」として発表。その中に河野の名前もあった。今後、正式に契約し来年1月20日からチームの一員として始動する。

河野は、国立大の京都工芸繊維大から初のNPB入りを目指しプロ志望届を提出。巨人の入団テストでは2次試験まで進んだ。「テストを受けて、(プロは)とても遠いとは思わなかった。1年間すべてを野球に費やしたい。150キロ出るイメージも沸いている。160キロを目指すくらいでやりたい」と、現時点での実力差も前向きにとらえる。

愛媛の球団関係者は「真っすぐに力がある。恵まれていない練習環境の中でやってきたと聞いている」と言い、本格的に野球ができる環境で鍛えればまだまだ伸びる素材と判断し合格とした。

京都工芸繊維大は京滋大学野球連盟2部に所属。京都市内の学校内のグラウンドが狭く、昨秋からはフリー打撃、ティー打撃、外野ノック禁止。新型コロナウイルスのため部活も再開できず、秋季リーグへの参加も辞退している。

そんな中、大学側も河野の夢を後押しする。テスト受験のためにグラウンドの使用を特別に許可した。野球部OBが中心となりクラウドファンディングを行い、自主トレ期間中の経費などを募ると、目標の15万円を大きく上回る50万円以上が集まった。

今秋のドラフトでは四国ILから支配下2人、育成1人の3人が指名を受けた。「僕も圧倒的な数字を残さないといけないと思っている。愛媛の(元巨人)河原(純一)監督に投球術などを聞いてみたい。スター性のある選手になりたいですね」。同大学から四国ILの選手も初。河野が愛媛でチャンスをつかみ大きな夢をかなえる。【石橋隆雄】

◆河野翔太(こうの・しょうた)1998年(平10)3月25日生まれ。大阪市出身。178センチ、78キロ。右投げ右打ち。諏訪小1年から東中浜ジャイアンツで軟式野球を始める。城東中では硬式の意岐部(おきべ)ボーイズでプレー。四条畷では2番手投手と一塁手。1年浪人し京都工芸繊維大へ。情報工学課程を学ぶ。1年時はタイに短期留学するなどし、野球部に入ったのは1年の2月。2年春から主力としてチームを支え、投手をしない時には捕手や野手として出場。最速は145キロ。球種はカーブ、スライダー、チェンジアップ。