さらば、火の玉ストレート-。阪神藤川球児投手(40)が10日の巨人戦(甲子園)で引退試合に臨んだ。9回に登板。巨人の代打坂本から三振を奪うなど12球の直球勝負で1イニングを3者凡退に抑えた。日米通算245セーブを記録した右腕が、タテジマに別れを告げた。

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阪神藤川は、引退試合特別仕様のグラブを使用した。メインの刺しゅうは、親指部分の「応援ありがとう」。ファンへ向けたメッセージだ。さらに藤川が憧れる偉人、坂本龍馬が大事にしていた「志」という1文字に「火の玉ストレート Final Day」の刺しゅうを施した。色も「最後なのに黒なのは、ちょっと地味やな」という藤川の提案で、目立つオレンジ色になった。

藤川が「最後の1試合、特別な日やから、その日専用のグローブができるか」と、担当の丸井氏に持ちかけたのは10月20日の夜。「通常の納期から考えるとできないんですけど、職人さんがなにより最後の球児さんの花道に、最後のところにお力になれるのなら、と」。社を挙げた総力戦で、1カ月足らずで仕上げた。引退会見の後から「藤川モデルを販売してほしい」という声が数多く届き、今回のグラブは期間限定で受注販売する方向だ。